民間企業
人と話すことへの苦手意識を、ゼミや留学生との交流を通じて克服。
憧れの仕事への道を、切り開く力にもなった。
現在、どのようなお仕事をされていますか?
運転士の教習生として、電車の運転に関する実習に取り組んでいます。
入社1年目は駅に配属され、2年目からは車掌登用試験を経て車掌を2年間経験しました。そして入社4年目を迎える今年の春に、運転士登用試験に合格。以後は、実習に全力を傾ける毎日です。
実習と言っても、実際の路線でお客様をお乗せした電車を、先輩社員の方に指導してもらいながら、私自身が運転します。安全にお客様を目的地にお届けしなければならないという強い使命感と責任を胸に抱いて、一人前の運転士をめざして日々頑張っています。
ご苦労ややりがいについてお聞かせください。
所属している列車区では、大阪から奈良、京都と、担当する路線が広範囲に及んでいます。そのすべての踏切の場所と名前など、覚えなければならないことが多いので、その点では苦労しています。また電車にも種類があり、それぞれ加速やブレーキの特性が異なっています。天候や乗車されているお客様の数でもブレーキの効き具合などが変わってきますので、教習生のうちに経験を重ねることで、それらをしっかりと把握していきたいですね。
時には友人や経法大の先生方が利用されている姿を見かけることもあります。そんな時、改めて自分の仕事の責任の大きさを実感します。「絶対に無事故で」と、気持ちが引き締まりますね。
今のお仕事を志すようになったきっかけは何ですか?
高校時代に野球をしていたこともあり、最初は「スポーツに関わる仕事がしたい」と考えていました。経法大に進学したのも、就職率の高さに魅力を感じ、スポーツ用品メーカーなどへの就職を意識してのことです。
転機となったのは、大学2年の時。私は近鉄電車で通学していたのですが、その電車の目の前で、トラックが踏切内で立ち往生するという事故が起きました。電車は40分ほど停車し、その間に私は踏切のそばまで様子を見に行きました。すると、電車の運転士の方が、対向列車を停めるなどの処置に力を尽くしている姿が、目に入ったのです。事故がそれ以上大きくならなかったのは、こうした迅速で的確な処置のおかげでした。その時に「これだ」と、感じました。
鉄道会社での仕事は、地域に対する貢献が大きい。近鉄沿線で生まれ育った私が地元に貢献できる仕事として、近鉄で働きたいと考えるようになりました。
大学ではどのようなことに力を注ぎましたか?
実は私は高校まで、人と話すことがあまり得意ではなかったんです。なので大学では、その苦手意識を克服しようと頑張りました。
1年の秋からのゼミで、ずいぶん鍛えられたと思います。学期末には必ず全員の前でプレゼンテーションを行うんです。自分の考えを発表し、それに対する質問を受ける、という経験を重ねるうちに、コミュニケーション能力が自然に高まっていったように思います。
また、在学中は頻繁に国際部を訪れ、留学生と積極的に交流を図りました。世界のさまざまな国から来た友人たちとふれあう中で、視野が広がり、初対面の人と話すことにも抵抗がなくなるくらい、「人と話す」ことへの苦手意識がなくなっていきました。
秘書技能検定準一級の資格も取得されていますね。
はい。大学から受験費用の一部補助もあり、エクステンションセンターでの資格講座を受講しました。講座では座学だけでなく、面接の練習にも取り組みましたよ。受講者同士でお互いに問題点などを指摘し合うなど、とても実践的な練習のおかげで、資格試験に合格するだけでなく、就活での面接にも役立つ力が身につきました。
ゼミや留学生との交流、資格試験での面接の練習などで培われたコミュニケーション能力は、就活で大いに生かすことができたと思います。グループディスカッションなどでは他大学の学生に自分から積極的に話すことも苦になりませんでしたし、面接でも落ち着いて話すことができました。高校時代の自分と比べると、ものすごく成長できたと実感しています。
今後の目標についてお聞かせください。
今はまだ運転士の教習生ですから、まずとにかく一人前の運転士になることが、一番の目標です。教習期間の一日一日に全力を尽くして、晴れて運転士として独り立ちができるよう、頑張りたいと思います。
※掲載内容は取材当時のものです。
シゴトの必須アイテム
電車の運転時も、肌身離さず持っているカバン。機密事項が多いため、中身はお見せできませんが、ダイヤグラム(停車駅や時刻などが記された電車の運行図)や合図灯、実習で学んだことなどを書き込む勉強用ノートなどが入っています。
大学時代の「思い出の場所」
文化会館の中の学生食堂で、友人たちといろいろな話をして過ごす時間が多かったですね。お昼の定食が好きで、他の食堂よりもよく利用していました。
大学時代によく読んだ本
本はたくさん読みましたよ。決まった愛読書はなく、ビジネス書や小説など、いろいろな本を次々と読みあさっていました。主に通学電車の中が、読書時間でしたね。