民間企業
大学で手にした経済を見通す力。
DAISOをグローバルブランドにするため、世界経済に挑みたい。
内定先についてお聞かせください。
株式会社大創産業から内定をいただきました。
企業名だけを見ると馴染みがないかもしれませんが、100円均一ショップのダイソーを運営する企業です。100円均一という業態自体を開拓し、売上高も売上シェアも業界一位をキープしている名実ともに業界トップの企業です。「感動価格・感動品質」を掲げ、商品企画から製造、販売までを一貫して行い、消費者のニーズにすばやく対応できるビジネスモデルを確立しています。最近では「DAISO」として海外展開にも力を入れていて、20カ国以上に約980店舗を出店しています。最初は店舗勤務になるので、2年で店長になることをめざし、その後は海外事業の部署で務めたいと思っています。
ダイソーに興味を持たれたきっかけは何ですか?
合同企業説明会に参加した際に興味を持ちました。ダイソーは利用したことがあり馴染みはありましたが、就職先としては意識をしていませんでした。しかし、説明を聞いていくうちに魅力に溢れた企業であることがわかりました。まず、社員の平均年齢が低く、若い世代が自分の考えを実現できる社風で若手でも活躍できる環境があること。そして、2年目から店長をめざせるほどキャリアステップが早いこと。また、業界No.1という確固たる実績と安定した基盤があり、世界シェアも年々拡大していること。それを支える高い商品企画力と話題化させるマーケティング力があることなど、知れば知るほど魅力的な企業だと感じました。
大学ではどのような学修に取り組まれたのですか?
経済学を基礎から段階的に学修していきました。「ミクロ経済学」では複雑な計算式が頻出し、最初は戸惑いを感じましたが、高校時代から数学は得意な方だったので次第に計算式を解くことが楽しくなっていきました。需要曲線や供給曲線の読み方、価格弾力性など、経済学の基礎となる部分をしっかり理解できる授業でした。また、「マクロ経済学」ではGDP(国内総生産)や物価がどのように決定され、変動する要因は何なのかを学修。物価変動による影響を取り除いた実質GDPや、生産数量に市場価格をかけて算出した名目GDPなども自分たちで算出するなど、着実に知識が養われている実感がありました。
「地域経済」では、地域経済の活発さを表す「県内総生産」を通して地域ごとの産業構造を考察しました。地域間の人口移動状況を把握した上で、移動の要因と影響を分析するなど、地域の構造・人口・諸課題について幅広く学ぶことができました。大阪のインバウンド状況を参考に、都市形成のメカニズムや問題点なども学修でき、都市経済を含んだ包括的な地域経済理論を知ることができました。
高校生の頃はGDPや地域経済に関する興味はあまりなかったのですが、大学入学後は経済ニュースを意識して見るようになりました。さらに、日本と海外の貿易や情勢についても理解できるようになったので、自分でも驚くほど社会に対しての理解が深まり、成長を感じています。
大学生活で印象に残っていることはありますか?
大阪のインバウンドに関するテーマで、学生研究発表大会に出場したことが印象に残っています。新型コロナウイルスによると渡航制限も落ち着き、大阪にも外国人観光客数が回復しはじめた頃だったので、今後重要になるテーマを深く研究することがおもしろそうだなと思い、このテーマにしました。インバウンドによる経済効果といったメリットだけではなく、騒音や路上での飲酒、ゴミのポイ捨て、オーバーツーリズム問題など、デメリットの部分にも着目してグループで取り組みました。研究をはじめた当初、いちばん苦労したのがグループ内で意見を集約することでした。各自で情報収集し検討・集約しようとしましたが、それぞれ着目している点が違い、まとめることに難しさを感じました。このままでは収拾がつかないと考え、まずはどのような点に着目するのかを絞ることにしました。その結果、インバウンドのメリットとデメリットに観点を絞ることに決まり、ようやく本格的に研究が動きだしました。そこからは週に1度のペースで集まり内容を詰めていき、デメリットとしてあがった問題点をどうすれば解消できるのか、具体的な対応策まで考察しました。全員の気持ちがひとつになり、最終的にはグループ全員が納得できる研究内容に仕上げることができました。
しかし、発表の当日。メンバーの多くが体調不良で参加できなくなるというトラブルが発生。急遽、私一人で発表することになり緊張しましたが、研究発表の内容には自信を持っていたので、落ち着いて堂々と話すことを意識し、何とか乗り切ることができました。質疑応答では発表には入れていないことも質問されましたが、グループで検討していた部分だったので焦ることなく回答することができました。全体的にも高評価で、ゼミの先生からも「よくできていた」とお褒めの言葉をいただけました。
この内容をベースに卒業論文では、観光地の住民の声をアンケートで収拾するなど、さまざまなデータを交えながらインバウンドの課題をこれからより詳細に研究する予定です。日本経済にインバウンドは重要なので推進していくべきだと思います。日本政府が条例や法整備をするなど、積極介入し、新たな政策提言まで盛り込めればとよいのではないかと考えています。
就職活動に向けて、どのような準備をされましたか?
周りの友人はキャリアセンターで対策をしていましたが、私はありのままの自分で選考に臨みたいと考えていたので、企業説明会に参加し企業研究に注力しました。研究発表大会の時のように、堂々と自分の素直な想いを伝えることでき、本番の面接でも手応えを感じることができました。しかしながら、SPIに関しては事前にきちんと対策して臨むべきだったなと感じています。SPIは大学でも対策講座があり、図書館でテキストを借りられるため、利用していれば、苦労することはなかったと反省しています。
今後の抱負についてお聞かせください。
ダイソーは中国にも精力的に出店しているので、中国語の勉強に力を入れていきたいと思っています。もちろん、マーケットはアジア圏だけではないので、英語の勉強にも取り組んでいきたいです。そして、将来的には海外店舗の立ち上げに関わり、どの国や地域に出店するべきかという戦略や計画の立案などにも携わっていきたいですね。DAISOブランドを世界的なブランドに成長させるべく、世界に飛び出し、世界の経済に挑戦していくのが今の私の夢です。
※掲載内容は取材当時のものです。