民間企業
学ぶことに自信のなかった僕が、経済学に夢中になれたその先に、
システムエンジニアの道はあった。
現在、どのようなお仕事をされていますか?
グループの母体である株式会社IHIは、船舶や鉄道にロケット、橋や発電所など、社会の基盤となるものや資源・エネルギーに関わるものをつくっている会社です。私の所属する株式会社IHIエスキューブは、グループ内外へのシステム技術の開発・提供を行っています。
入社後6年間は東京で、さまざまな企業の資材調達システムを開発していました。その後広島に移り、現在は造船会社の生産管理システムを担当しています。造船工程を効率よく速やかに進められるよう、コンピュータシステムを構築しています。
お仕事の魅力や、やりがいについてお聞かせ下さい。
ひと言でいえば「ものづくりの喜び」だと思っています。東京勤務の時は、今よりも社外の業者に任せる部分も多く、システムの設計図を描くと、あとは指示を入れてまとめていくという仕事が中心でした。広島に来てからは、システムを実際に運用している現場が間近にあり、その反応をもとに自分の手でシステムをブラッシュアップしていくことも増えていますね。そのため、以前よりも「ものづくりの一端を担っている」という実感があります。自分が携わったシステムで巨大なタンカーなどが造られていく様は壮観で、大きなやりがいを感じています。
大学在学中は何を学び、どのように過ごしていましたか?
実は、経済学科の学生として入学したものの、2年生の途中までは「経済って難しいなぁ。自分には無理かも知れない」と、あまり熱心に勉強していませんでした。
自分でも転機だったなと思うのは、2年生の時に友人に誘われて“研究発表旅行”に参加したことですね。いくつかの大学が参加していたプログラムだったと思いますが、大学ごとにチームとなって経済分野のテーマをひとつ研究し、その発表会が伊豆で開催されるというものでした。学内で定期的に集まり、手分けしながら発表へ向けた準備をしていくんです。この時に入学後はじめて学ぶことの面白さや、みんなと一緒にひとつのものを作り上げる楽しさを味わうことができました。また同時に、ただひたすら難しいと思っていた「経済」についても、しっかり取り組めば自分にも学んでいけそうだなと思えたんです。
3・4年生では経済統計学のゼミに所属し、金融工学を学びました。とても面倒見のいい先生で、何度か課題を提出しに行くうちに話が弾むようになり、学ぶことがどんどん楽しくなっていって、先生の研究室にいる時間も増えていきました。その頃には経済学自体も面白くなっていて、当時興味のあった株式の統計をとって遊んだりするようにもなっていましたね。
自ら財テク研究会を立ち上げたりもしました。自由に使えるPCが必要だなと思い始めたのと、それを設置して作業する場所を確保するためにはサークルを作ればいいんだと考えて。
でも結局は、先生の研究室で過ごしている時間のほうが長かったように思います。先生と話しながら学べている時間が楽しかったからでしょうね。
先生との出会いで、学生生活が大きく変わったんですね。
学生時代に学んだことで、今も役に立っていることはありますか?
統計学を学んでいくには、数学のレベルアップが欠かせませんでした。けれど、もはや手計算では追いつかず、コンピュータによる計算・解析になっていきました。それもアプリケーションではなく、JAVAなどプログラミング言語でコーディングするといった具合に、徐々にプログラミングの領域に入っていったんです。
そこから培った技能が、今のシステムエンジニアの仕事につながっていきました。図らずも、ではありますが。
そのうち経済学をもっと学びたいと思うようになり、大学院への進学を目指すことにしました。Sコース(特修講座)の大学院進学講座を受講し、卒業後、大阪市立大学の大学院・経済学研究科に進学しました。そこでも、株価や景気の波の解析・研究をしていました。
就職活動にあたっては、どのようなことを考えましたか?
また、どのように就職先を選んだのでしょう?
経済や金融を学んでいたので、銀行や証券会社なども考えていたのですが、いざ“自分が携わっていく仕事”として考えた時に、やはりものづくりがいいなと思ったんです。「自分はこれをつくっている」と、目に見えるカタチで分かる仕事に就きたいなと。
就職活動をしていた当時も、ソフトウェアだけを扱っている企業はたくさんありました。けれどソフトウェアだけでなく、機械制御を通してハードウェアに関われるIHIエスキューブなら、より幅広いものづくりに携わっていくことができると思い、入社を決めました。
では、最後に今後の目標・抱負をお聞かせ下さい。
不可能を可能にしたい、といえば言い過ぎですが、どんな状況での依頼にもできる限り応え、ひとに喜んでもらえるようなものづくりをしていきたいと思っています。
※掲載内容は取材当時のものです。
仕事の必須アイテム
PC
システムエンジニアのPCは、必ずしも最先端のものではありません。いろいろな顧客の環境に合わせられることのほうが大切なんです。
大学時代の思い出の場所
研究室
この場所で先生と話していた時間が、学びの基礎になっていたのだと思っています。今でも大阪に来たら、ときどき訪ねていますね。
大学時代に影響を受けた本
『ナニワ金融道』
人はどういうことを狙っているのか、世の中にはどういう落とし穴があるかなど、ある種の経済感覚(?)を学べて面白いんです。