民間企業
コロナ禍でも揺るがなかった航空業界への想い。
すべての旅を、安全で楽しい思い出に。
内定先についてお聞かせください。
ANA関西空港株式会社から内定をいただきました。
ANA関西空港株式会社は、関西国際空港にてANAグループや業務受託している海外の航空会社の空港オペレーション事業(グランドハンドリング、旅客サービス、運航支援や旅客・貨物などの重量・重心のバランス調整を行うロードコントロールなど)を総合的に担っています。配属先は入社後に決まりますが、「旅客サービス業務」を志望しています。「旅客サービス業務」は搭乗手続きをはじめとするカウンター業務やロビーでのサービス業務、搭乗・到着案内をするゲート業務など、「空港の顔」として幅広い業務に従事する職種です。
空港は「はじまり」と「おわり」に利用する場所です。空港での体験が旅の満足感を左右するといっても過言ではありません。ANA関西空港株式会社は、「期待を超える感動を 関西から世界へ ~あんしん・いきいき・やってみよう!~」という企業理念を掲げています。私もANAグループの一員として、一日でも早くすべてのお客様に最高のサービスを提供できる人材になりたいと思っています。
航空業界に興味を持たれたきっかけは何ですか?
私の父や親戚は海外出張や海外赴任の期間が長かったので、幼い頃は空を見ながら「今頃、あの空の向こうにいるんだろうな」と、想いを馳せていました。そのため、幼い頃から世界は空でつながっているという感覚があり、空港で過ごすことや飛行機に乗って旅をすることに憧れを抱いていました。私にとって家族旅行というものが家族全員で過ごせるとても意味のあるものだったので、旅行・観光業に興味を持ち始めました。
中学生の頃には父のように飛行機でさまざまな場所へ出発する人を空港でサポートする仕事に就きたいと思うようになりました。海外の人とも英語でコミュニケーションが取れるように高校は国際コースの学校を選択。大学も留学制度が充実している経法大を選び、空港で働くという目標に向かってステップアップしてきました。
大学ではどのような学修に取り組まれたのですか?
1年生の時に受けた「異文化理解」の授業で、文化には「見える文化」と「見えない文化」があると教わりました。日本を例にとると、箸を使うという食文化は「見える文化」ですが、相手の気持ちを推し量る、いわゆる「忖度(そんたく)」は「見えない文化」です。また、会釈は「見える文化」ですが、そこに込められている意味は挨拶や「ありがとう」、「すみません」の気持ちです。文化的な背景を知らないと理解できないため「見えない文化」としてとらえることもできます。異文化を真に理解するためには、表層的に見えているものだけではなく、その背景にあるものまで見ようとする意識が必要です。この授業を受講したことで、世界の見え方が大きく変わりました。
3年生で受講した「航空経済論」では、航空産業の歴史からANAとJAL、ローコストキャリア(LCC)の経営戦略比較まで、航空業界について幅広く学修しました。各国の航空会社で実務経験を積んだ先生から、業界の動向や各企業の特徴をリアルに学ぶことができ、就職活動にも活かせる知識を身に付けることができました。また、「観光英語」や「Tourism and World Heritages 」の授業では、旅行や観光に限定した専門的な用語や表現を学びました。一般的な英語表現だけでなく、空港やホテル、公共交通機関などで使われている、プロフェッショナルかつ実践的な観光英語を修得できたので、将来、空港で働く際にも必ず役立つと思います。
大学生活で印象に残っていることはありますか?
2年生でアメリカのサンフランシスコ州立大学へ留学したことが一番印象に残っています。日本で生活していると、どうしても「日本人としての考え方」で物事をとらえてしまうため、より広い視野で物事を見ることができるようになりたいと考えるようになりました。多様なルーツを持つ人々と交流し、多様な価値観を吸収したいと考え、サンフランシスコ州立大学を留学先に選びました。サンフランシスコの街でまず驚いたのが、貧富の差が大きいということです。シリコンバレーに代表されるように、サンフランシスコはIT業界で成功した富裕層の住む街というイメージでしたが、歩道にはホームレスのテントが多く張られ、貧富の差を目の当たりにしました。犯罪発生率も高く、日本がいかに安全で恵まれた国かを理解すると共に、日本とはまったく環境の異なる国に来たという実感とともに世界で起きている問題について考えさせられるきっかけとなりました。
現地の授業で印象的だったのは、毎週プレゼンテーションがあることです。環境問題をはじめとする多様な社会課題について、国籍の違う留学生とともにグループでプレゼン用の資料をつくり、いかにわかりやすいプレゼンに仕上げることができるか、チーム全員で話し合いを繰り返しました。英語で議論しながら意見を集約する必要があるので、自分の意見をしっかり主張しながらも、相手の意見も受け入れる柔軟性が身に付きました。私はどちらかと言うと、仲の良い友人にしか自分の意見や本心を表に出せない性格でしたが、この経験をきっかけに自分の意見を伝えられるようになり、コミュニケーション力が飛躍的に伸びたと感じています。自分の結論だけが正解ではなく、他の結果や可能性もあるということを俯瞰して捉えられるようになりました。この経験は、チームで連携して働く航空業務にも活かせると思っています。
アメリカから帰国後、一緒に留学をしたメンバーで国際交流会Gatorというサークルを立ち上げました。国際交流会Gatorは環境問題について発信するなど持続可能な社会に向けての取り組みを行っており、私は広報担当としてSNSで活動について発信していました。
SlowFashionや海洋プラスチックを再利用したアクセサリー作りなどを行い、なんばマルイに出店するなど、貴重な体験もできました。
また、英語学修だけではなく、韓国語の学修にも力を入れました。コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、韓国ドラマをよく観るようになりました。「韓国語って発音がかわいいな」と感じ、自分でテキストを買って勉強を進めながら、大学では韓国人留学生との交流を積極的に進めました。会話ができるようになればなるほど、「新しい言語を勉強するのって、こんなに楽しんだ!」と夢中になり、韓国語を通して言語学修の楽しさを改めて認識することができました。英語学修に対するモチベーションも高まり、いい相乗効果が生まれたと感じています。
就職活動に向けて、どのような準備をされましたか?
まず、就活直前期に全学部合同で行われる就活実践キャンプに参加しました。本番さながらの模擬面接を経験することで、個人面接よりも、限られた時間内で簡潔に話さなければならない集団面接が苦手だという自分の弱点を知ることができました。内容を深く追求されることを前提に話を考えていたわけではありませんが、私の質疑応答を聞いて、面接官の方から「それは「個人面接での回答だから、集団面接ではもっとアピールポイントを端的にまとめた方がいいよ」とアドバイスをいただき、集団面接も想定した内容を考えるきっかけになりました。
産学連携で実施されるBIP(Business Idea Presentation)プログラムに参加した経験も就職活動に役立ったと思います。教育現場においてデータやデジタル技術を活用し、教育の在り方や手法の変革を行う、いわゆる教育DXを大学内でどう活用するかというテーマのもと、各学部から集まったメンバーで議論を重ね、企業へプレゼンしました。各学部から選抜された優秀な学生が集まっていたので、とても刺激を受けました。最初は周りの学生たちに圧倒され、自信を失いかけましたが、議論を重ねていく過程で、徐々に留学時に培ったコミュニケーション力や全体を俯瞰して捉える力を発揮することができ、自分の強みを再確認することができました。BIPプログラムの最終日に7日間かけてつくりあげた提案を企業の方にプレゼンできたことは、とてもいい経験になったと感じています。実際に、選考過程にプレゼンが含まれる企業もあるので、BIPプログラムで得た経験を活かして本番の選考にも自信を持って臨むことができました。
コロナ禍での就職活動をどう乗り越えましたか?
中学生の頃からずっと航空業界に絞って進路を考えていた私にとって、大学入学と同時にはじまったコロナ禍は不安の連続でした。自分達の大学生活が大きく制限される中、航空産業全体が動きを止め、採用活動もストップ。先が見通せず悩んだ時期もありました。「他の業界も含めて幅広く企業を見てみよう」と、東京キャリアサマーフォーラムにも参加しました。国内最大級の日英バイリンガル就職イベントと言われるだけあり、多様なグローバル企業が数多く参加しています。このイベントは、その日のうちに会場で面接が行われ、内定が出ることもある、選考型イベントです。興味を持った企業もいくつかありましたが、参加して「やっぱり、私には航空業界しかない」と覚悟を決めることができました。就職活動が本格化する頃には航空業界の採用活動も再開されていたため、「国際キャリア演習」で仕上げたエントリーシートを、キャリアセンターやゼミの先生に添削をしていただき、着々と準備を進めていきました。
今後の抱負についてお聞かせください。
すべての旅を楽しい思い出にしたい。多くのお客様に安心して旅を続けてもらいたい。そのような想いを胸に、空港での業務に励みたいと思っています。配属先が「旅客サービス」を含む4つの部門のうちいずれになったとしても、すべての経験がお客様の満足度につながっていくと思うので、チャレンジできることを見つけてはチャレンジして、成長し続けていきたいですね。また、どんな業務に就いたとしても英語力は必須なので、入社までにさらに高めていくつもりです。
※掲載内容は取材当時のものです。