内定先についてお聞かせください。
日本年金機構から内定をいただきました。
日本年金機構は公的年金制度の運営を国から任されている唯一の組織として、2010年に設立された特殊法人です。公務員ではなく、民間企業の会社員と同じ立場ですが、日本に住むすべての人が安心して生活できるように、年金という社会基盤を支える非常に重い責務を負っています。
入構後は、さまざまな業務がある中でも保険料徴収業務に就きたいと思っています。滞納事業所に対する納付指導などを行って、滞納を解消するのが主な業務ですが、一方的に指導・徴収するのではなく、滞納している背景課題や状況を聞き、相手の立場を尊重した上で適切な指導を行いたいです。
日本年金機構に興味を持たれたきっかけは何ですか?
大学入学時は教員をめざしていたのですが、経法大は公務員以外のさまざまな可能性や選択肢にも触れられる環境があるので、視野を広げて将来を考えるようになりました。
いろいろな民間企業のインターンシップに参加していく中で、日本年金機構のインターンシップにも参加。当初は日本年金機構に対して堅苦しいイメージを持っていましたが、インターンシップに参加した際、そのイメージは180度変わりました。働いている人がみんな朗らかで、実に楽しそうに働いていたからです。業務内容は厳格さや正確性を求められるものの、働きがいと働きやすさのある職場だと感じ興味を持ちました。
大学ではどのような学修に取り組まれたのですか?
2年生の時の「経済政策論」では、国や自治体が実際に行っている政策について学修しました。ミクロ経済学やマクロ経済学の知識を土台にしながら、経済政策の背後にある基礎的な考え方を考察しました。社会保障政策についても、この授業で理解を深めることができたので、日本年金機構で活かせる部分もあると思います。さらに「地域生活と経済」では、地域経済の課題や政策について学び、人口減少に関連した年金問題などの知識も身に付けることができました。こうした基礎知識や前提知識は、公務員特別演習などでディスカッションをする際に非常に役立ちました。
3年生になってからはさらに発展的な学修に取り組み、「都市経済論」では経済学の視点から都市を分析。都市の経済状況や問題点を理解し、それらに対応する政策のあり方や手法を考える力が身に付いたと感じています。大阪・関西万博の開催が近いこともあって、関西の経済状況を分析したり、新大阪・東京間を走る東海道新幹線の経済効果を考察したりと、理論だけではなく、リアルで具体的な問題や政策にも迫ることができました。他にも「日本経済論」では、日本経済を見通す上で必須となる経済指標の読み解き方について学びました。基礎知識から丁寧に説明してもらい、GDP(国内総生産)や企業の財務諸表などを理解した上で、実際のグラフから現状を読み解く練習をしていくので、日々報じられている経済ニュースの背景を理解することができるようになりました。
公務員をめざして学修されたことで将来に役立つことはありますか?
公務員特別演習では、自分の住んでいる町の課題や取り組みを調査し、自分なりの改善政策を考案・発表していましたが、これが非常におもしろく、将来にも役立つ内容だったと感じています。自分の考えをわかりやすく伝える練習になるだけでなく、他の学生が考察した自治体の発表も聞けるので、さまざまな知識やアイデアをインプットすることができました。また、出てきたアイデアに対し、全員で議論しながら最適な政策を考えていったので、思考も知識もどんどん深まっていき、自信を持って議論できるようになりました。日本年金機構でも、相手方の話を聞いた上で、難しい年金制度についてわかりやすく説明する力が必要になるため、この経験は必ず役立つと思います。教職課程の学修にも同じようなことが言え、いかにわかりやすく自分の言葉で伝えられるか、わかりやすく資料に落とし込めるかを重点的に鍛えられたので、将来につながる経験だと思っています。
大学生活で印象に残っていることはありますか?
軟式野球部での活動です。勉強にも力は入れていましたが、野球をやる時はとことん楽しんでやると決めていたので、明確に切り替えて全力で野球に打ち込んでいました。そんな中で副キャプテンに任命してもらっていたので、キャプテンを支えながらチーム全体もマネジメントするという貴重な経験もさせてもらえました。副キャプテンだからといって、上から目線で指導するのではなく、人間関係とチームワークを大切にしながらリードすることで、組織内でのバランス感覚が身に付いたと思います。また、個人的にはピッチャーとして試合に出ていましたが、肘を怪我してしまい、なかなか思うような結果が残せない時期もありました。随分、一人で悩み苦しみましたが、まわりの声に耳を傾けすぎて、自分のフォームを見失っていたことに気づき、自分は周りに対して過度に意見言い過ぎないようにしようと気を付けながら、チームをめざすべき方向へ導くことに集中して、悩みをふっきることができました。また、学生研究発表大会でも同じように、グループリーダーとしてチームを牽引する機会をもらえたので、人の意見をまとめあげる力を鍛えることができました。
就職活動に向けて、どのような準備をされましたか?
キャリアセンターで自己PR文や志望理由書の添削をしてもらいました。細かな表現や言い回しの推敲を何度もしてもらうことで、最初とは見違えるほど整理された文章になり、自分の思いをしっかり伝えられる内容に仕上げることができたと感じています。面接練習もしてもらったのですが、キャリアセンターの職員の方が企業ごとに異なる「求める人物像」を把握して、それに合わせた質問をしてくださったので、かなり実践的な練習をすることができました。緊張感のある模擬面接だったので、こちらも本番のつもりでさまざまな質問を想定して臨んだのですが、まったく想定していなかった側面からの質問や、ひとつの質問を深掘りする質問などがあり、「こんな視点もあるのか」と非常に勉強になりました。おかげで、本番の面接で想定外の質問がきた時も、慌てることなく落ち着いて自分の考えを伝えることができたので、とても感謝しています。
今後の抱負についてお聞かせください。
日本年金機構の特殊なところは「国民がお客様である」という点です。ミスや適当な仕事は信頼を失う重大な行為であり、年金が生活の基盤でもある高齢者の方とっては、生活の安定を揺るがす大きな問題になります。年金は国民の安定した暮らしを支えるインフラであることを自覚し、日本を支えるくらいの覚悟と気概を持って業務を全うしていきたいです。
※掲載内容は取材当時のものです。