民間企業
就職活動時期に思い切ってサンフランシスコへ。
留学で身につけた積極性と行動力で、空港を根底から支えたい。
内定先についてお聞かせください。
ANA大阪空港株式会社から内定をいただきました。
勤務先である大阪国際空港(伊丹空港)は、大阪らしい親しみやすさのある空港で、働いている方もあたたかい方が多いという印象があります。就職活動中に他の空港も調べてみましたが、大阪国際空港が一番働く人も施設も地域に根差していると感じました。
国際空港という名称ですが、関西国際空港が開港した際に国際線は移管されているため、国内線のみが就航しています。しかし、国際線へ乗り継ぐお客様も多いため、直接的な関わりはなくても、スタッフ全員が国際線に関する知識も身につけています。そのような部分は、やはりプロとしての意識の高さを感じますね。
私は地上スタッフとして勤務するため、空港を利用されるお客様や貨物の着陸から離陸までをサポートする予定です。空港の要ともいえる重要な業務なので、実際に働くのが今からとても楽しみです。
航空業界に興味を持たれたきっかけは何ですか?
高校2年生の時に、修学旅行で初めて飛行機に乗りました。初の海外旅行だったので、楽しさの反面、心の中では不安も感じていました。不安な顔をしていると周りの友人や先生が心配するので、表情には出さないようにしていたにもかかわらず、キャビンアテンダントの方が「大丈夫だよ」と声をかけてくれた時は、「なぜ、わかったんだろう?」と本当にびっくりしました。お客様一人ひとりをよく観察し、適切な声かけができるキャビンアテンダントの方を心の底から尊敬した瞬間でした。その時以来、航空業界で働きたいと思うようになり、飛行機に乗るのはもちろん、飛行機を見たり、空港で過ごしたりする時間も大好きになりました。
大学ではどのような学修に取り組まれたのですか?
国際学部では語学力のみならず幅広い専門分野を学べるので、多角的な視点を養うことができます。興味深い授業は多いですが、1年次の「異文化理解」は広い視野を持つきっかけとなる授業だったと思います。この授業では複数の先生が交代で講義を行ってくださるのですが、どの先生も異なる文化的ルーツを持っているため、多様な文化や宗教、考えに触れることができました。私が異文化に対して柔軟な考えを持てるようになったのは、この授業のおかげだと思っています。
また、3年次の「現代東南アジア事情」も興味深い授業でした。この授業では、東南アジア主要国の文化・歴史・社会・経済・政治について学び、地域の特性としての多民族多宗教性やASEAN域内の人の移動など、現代東南アジアのトピックを考察しました。日本との関係性や国際社会の中での立ち位置など、俯瞰的な視点で東南アジアを理解するきっかけになった授業です。
4年次の「航空経済論」では、就職活動や今後のキャリアにもつながる学修ができました。グローバル化にともない著しく発展してきた航空産業の歴史は、非常に変化に富んでいます。近年の動きだけでも規制緩和によって、ローコストキャリア(LCC)が台頭するようになり、大手航空会社のグローバルアライアンス(世界的な連携)が加速しました。こうした業界の系譜はもちろんですが、航空事業に関する航空政策や、航空会社の経営戦略について、幅広い知識を得ることができました。
卒業論文はどのようなテーマで取り組まれていますか?
ヒスパニック系アメリカ人の現状をテーマに卒業論文を書いています。アメリカの国勢調査局が10年ごとに実施する国勢調査(センサス)のデータによれば、ヒスパニックの人口は黒人を抜いてアメリカの中で最大のマイノリティ集団になっています。この傾向が続くと、2050年には全人口の30%に達するという見方もあるほど、その伸び率はとても高い状態です。21世紀のアメリカを理解するには、ヒスパニックの変遷を理解する必要があると言っても過言ではないかもしれません。差別や格差、権力運動など、さまざまな事柄について考察し、ヒスパニックとアメリカの現状を整理できればと考えています。
大学生活で印象に残っていることはありますか?
サンフランシスコ州立大学へ留学に行ったことが特に印象に残っています。就職活動と時期が重なっていたので、留学へ行くべきか葛藤がありましたが、留学したくて経法大に入学したので「行くなら今しかない!」と思い切って参加しました。周りの学生より就職活動のスタートが遅れたとしても、面接時に話せる内容が増えるならプラスになるのではないかとも思いましたね。
意気揚々とサンフランシスコへ向かったものの、最初のうちは現地の先生や学生の積極性に圧倒されることが多かったです。自分の考えを発信するのが当たり前の環境なので、さまざまな場面で意見を求められるのですが、「間違っていたらどうしよう」と考えると、うまく伝えることができませんでした。しかし、他国から来た留学生が間違った英語表現でも臆せず発言する姿を見て、「私も間違いを気にせず積極的に発言しよう」と思うようになり、変わっていくことができました。積極的にさまざまなことに挑戦し、失敗をたくさん経験する。そのすべてを自分の学びとすることで、英語力も行動力もぐんぐん伸びていきました。留学後半には、現地の友人とスケートや、ショッピングに行くなど、留学当初では考えられないくらい現地での生活を満喫している自分がいました。
帰国後、この留学に参加した学生の有志でサークルを立ち上げました。活動内容は環境問題について広く知ってもらうこと。なぜ、このようなサークルを立ち上げたのかというと、留学時に現地学生と話をしていて、環境問題に対する意識の差を感じたからです。現地の学生は環境問題への意識が非常に高く、知識も豊富だったのに対し、私たちはあまりにも無関心だったと反省したからです。環境問題について学修しながら、発信することで、自分たちだけではなく、周りの人たちの意識を変えていこうと考え、サークルを立ち上げました。唐突に地球温暖化について語っても理解していただけるわけではないと考えたので、まずは誰もがすぐにできることとして、古着のリユースに取り組んでいます。できるだけ自然素材やリサイクル素材を原料として、消費者が一つのアイテムを長く愛用するよう工夫を凝らした、環境にやさしいスローファッションの概念を広めようと考えています。
就職活動に向けて、どのような準備をされたのですか?
ゼミの本多先生に紹介していただいた学外のエアラインスクールへ通って、面接の練習に励みました。航空業界は他の業界とは異なる質問をされることがあるので、慌てることなく笑顔で対応できる力が必要です。航空業界で働いていた方に実践的な模擬面接をしていただくことで、そのような力を養うことができました。何度もエントリーシートの添削もしていただいたので、事前にできる対策は万全の状態だったと思います。
また、大学のキャリアセンターでも企業研究をはじめ、さまざまなことについて相談に乗っていただきました。キャビンアテンダントも視野に入れて就職活動に取り組んでいましたが、コロナ禍で航空業界自体の募集枠が非常に限られ、中でもキャビンアテンダントの募集枠はほんの一握りになってしまいました。不安な気持ちをキャリアセンターの方や先生に打ち明けたところ、「今の状況で航空業界だけに絞るのは得策ではない。他の企業も受けて経験値を増やした方がいい」など、進路に関する客観的なアドバイスもいただきました。
ANA大阪空港の選考には、どのように臨まれましたか?
エントリーシートは事前の対策が功を奏し、何の問題もありませんでした。一次選考はオンラインのグループディスカッションで、面接が始まった直後から、所作など細かいところも評価されていると感じました。緊張もありましたが、詰まってもいいから自分の言葉で話すこと、人の話をしっかり聞くことを意識して、何とか乗り越えることができました。最終面接は大阪国際空港で行われ、学生2名1組のグループ面接でした。自分らしく受け答えはできましたが、ペアの学生と私の意見が正反対だったので、何が正解か不安な気持ちになり、手応えは感じませんでした。あまり期待せずに選考結果を待っていましたが、後日、ANA大阪空港から着信があった時は「内定だ!」と直感して一気に嬉しさがこみ上げてきましたね。人事の方が「一緒に働いてほしいです」と言い終わらないうちに、「働きます!」と返事をしてしまうほど興奮していました。
今後の抱負についてお聞かせください。
残り少ない大学生活を最大限に楽しみたいと思っています。飛行機に乗って、知らない場所に行き、まだ知らないことに触れてみたいです。挑戦できることは全部挑戦して、やり残したことがないと胸を張って言える大学生活にしたいですね。
キャリア演習のメンター(下級生の学修サポート)活動もしているので、航空業界を志望している後輩がいたら、自分の経験を余すことなく伝えてあげたいです。
留学は私に大きな成長を与えてくれました。思い切って挑戦して本当に良かったと思います。この経験を活かし、入社してからもANAグループの一員として積極的に挑戦し、空港を根幹から支える人材になりたいです。
※掲載内容は取材当時のものです。