民間企業
大学で身につけた幅広い国際教養と、
留学で学んだ相手の考えに傾聴する姿勢を礎に、
貿易立国・日本を支えるような商社マンを目指す。
内定先についてお聞かせください。
川崎重工グループの中核商社である、川重商事株式会社から内定をいただきました。
川重商事はKawasaki製品の販売や資材供給だけでなく、産業用機器やエネルギー製品、鋼材・建材、環境・防災機器など、多種多様なメーカーの製品を取り扱っています。得意先と仕入先が共に約5,000 社もあるため、製品分野を問わずお客様のニーズに対応することが可能です。また、中国、台湾、フィリピン、ベトナム、タイ、シンガポール、アメリカに拠点ネットワークがあり、グローバル展開のサポートや海外調達に対応しているのも強みのひとつですね。職種としては営業を希望していますが、総合職での内定なので、どこに配属されるかはまだわかりません。しかし、どこに配属されたとしても、幅広いフィールドで経験を積み、世界を股に掛けるような商社マンになりたいと思っています。
川重商事に興味を持たれたきっかけは何ですか?
アルバイト先の文房具店で、文具専門商社と取引をしたのがきっかけです。アルバイト先では商品管理や発注の業務も任されていたので、商社の営業マンとやり取りする機会が多くありました。その方はいつも明るく、フットワークが軽く、どんな依頼や要望事項も快く引き受けてくれました。「そんなの営業マンなら当たり前」と言われるかもしれませんが、メーカーに依頼すると10個単位で発注を求められる商品を、その方にお願いすると1個単位で手配してくれるんです。あまり売れないけど在庫が切れてしまった商品を発注するなら、1個単位で発注できた方が店としてはありがたいものです。その方の細やかな気遣いと快活な対応を見ているうちに、「自分の明るい性格を活かすには、商社の営業が最適なのでは?」と思うようになり、地元兵庫にある専門商社を調べた結果、川重商事に出会いました。
大学では、どのような学修に取り組まれたのですか?
2年生以降は、貿易や金融、経済など幅広い分野の授業を通して国際教養を深めていきました。「貿易商務論」では、グローバル市場における商品やサービスの流通構造を、グローバル企業で実務経験のある先生から教わりました。それまで貿易に関する基礎知識がなかったので、この授業で大枠を理解することができました。また、「貿易金融論」では、貿易には欠かすことのできない外国為替や、その変動要因について学修。国際取引における基本的な規則や商習慣についても学び、より深く貿易を知ることができたと思っています。海運という視点でロジスティクス(物の流れを顧客ニーズに合わせて効率的な形で計画・実行・管理するシステム)を切り取った「海運と港湾」も興味深かったですね。
経済や経営関連の授業では、「比較経済論」と「国際経営論」が印象に残っています。「比較経済論」では、欧米や中国の経済システムの特徴を比較しながら、経済発展の変遷を学修しました。それを理論面から補強したのが「国際経営論」です。国際経営の基礎理論を中心に、
多国籍企業の歴史や経営行動を幅広く考察していきました。どちらもかなり難しい内容でしたが、これからグローバル社会の現場に飛び込む私にとっては、非常に有意義な内容でした。
また、ゼミでは「マレーシアの自動車保持率の推移と公共交通機関の変遷」というテーマで卒業論文を執筆中です。1年生の時にフィールド・プロジェクトでマレーシアを訪れ、めざましい経済発展と、その裏で影を落とし続けている問題点に直面しました。両者が入り混じり混沌とした様子がずっと記憶に残っていましたが、国際教養を深めた今なら鋭く分析できるのではないかと思い、テーマに据えることにしました。マレーシアには電車もバスも運行されていますが、国有化されていないため連携がまったく取れていない状態です。国が株式を保有することで各企業の連携を加速させ、交通網の最適化を図っていくべきだと個人的には考えています。また、日本などの先進国を手本にするだけではなく、マレーシア独自のルールや政策を考案する必要もあります。そのような点を今後、論文の中で追求していきたいですね。
大学生活で印象に残っていることはありますか?
マレーシアでの経験がとても印象に残っています。日本とは違う「アジア」を体験したくてマレーシアを選びましたが、マレーシアは本当に異文化の塊のような国でした。7割がマレー系、2割が中華系、1割がインド系という人口比率なので、マレーシアは宗教や価値観の異なる人たちが集まっている国です。にもかかわらず、宗教的対立が起こっていないことを最初はとても不思議に感じましたが、その謎は留学先のマレーシア国立大学で解けました。さまざまな背景を持つ学生と交流する中で気づいたのが、みんな常にお互いを尊重し、敬う気持ちを持っているということ。とてもフレンドリーで、コミュニケーション能力が高いので、自分の意見をズバズバ主張しそうなものですが、相手の考えを傾聴する姿勢がとても印象的でしたね。多様な考えを大切にする文化に直接触れたことで、自分の中にもそうした意識が自然と芽生えた気がします。
もうひとつ印象に残っているのが、研究発表大会です。1年生から毎年出場していますが、3年生の時は友人と二人でイギリス・ドイツ・日本の財政の違いを比較分析して発表し、全体3位を獲得しました。しかし、発表に向けた準備はコロナ禍で行っていたため、なかなか対面でプレゼンの練習をする機会がなく、週に2回オンラインで練習をしていました。研究は個別に進められますが、プレゼンの練習はそうはいきません。かなり苦労しましたが、その分プレゼンに対する苦手意識はすっかりなくなったと感じています。
就職活動に向けて、どのような準備をされましたか?
面接対策として、就活実践キャンプに参加しました。対面での面接練習が初めてだったので、緊張から考えている事と話している事にズレが出てしまい、とても焦ったのを覚えています。それでも、「表情が明るくていいね」「声も聞き取りやい」「身振りや姿勢から熱意を感じる」など、ポジティブなフィードバックをいただけたのは嬉しかったです。話をする時の具体的なテクニックとして、「多くなった」ではなく「10倍になった」など数字を入れて話すということや、「何をしたか」だけではなく「どう思ったのか」まで踏み込んで話すということも教わりました。このアドバイスをもとに、友人と面接の練習に励みましたね。
友人から「エントリーシートの添削や面接の練習などをキャリアセンターでやった」という話をよく聞きますが、私は早期に就職活動を始めた関係上、キャリアセンターが就活用の対策を開始する前に複数企業から内定をいただいている状態でした。そのため、就活中にキャリアセンターを利用することはなく、どの内定先を選ぶべきかの相談でキャリアセンターを初めて利用しました。その際、職員の方が帝国データバンクの情報をはじめ、さまざまな実績や財務指標を提示してくださり、「最後に決めるのは自分。この材料をもとにしっかり考えてみて」と力強く背中を押してくださったんです。その結果、川重商事に決めることができたので、今でもとても感謝しています。
川重商事の選考には、どのように臨まれましたか?
インターンシップに参加したので書類選考が免除となり、選考は面接だけでした。1次面接はオンラインで行われ、どんな時に喜怒哀楽を感じるかといった人間性を見る質問が出されました。慣れないオンライン面接に緊張しましたが、素直に自分のことを話せたので終わってみれば満足のいく内容でした。2次面接では、クレームにどう対応するのかを問われ、「謝罪し、次にどうするのかプランを提示します」と答えると「そのプランが却下されたらどうしますか?」と、さらに踏み込んだ質問が。そこでうまく答えることができず、不完全燃焼な状態で面接は終わってしまいました。2次面接の後、少し期間があったのでOB訪問もさせていただきました。仕事に対する熱意や責任感、さらには人間力のようなものを感じ、「やはりこの会社で働きたい」と強く思い、改めて志望度が高まったのを覚えています。その気持ちのまま最終面接へ。最終面接は対面で行われ、大学で学修した内容について聞かれましたが、ちょうど面接日に輸送タンカーが座礁する事故が起こっていたので、貿易や海運に関する知識を絡めながら話をし、一番納得のいく形で選考を終えることができました。
今後の抱負についてお聞かせください。
アルバイト時代に出会った商社マンのように、どんな小さな事にも細やかに対応し、最後まで責任を全うできる人間になりたいですね。そして、「永田になら任せてみたい」「永田に任せて良かった」と言ってもらえる商社マンになるのが目標です。活躍できるフィールドは本当に幅広く、世界中に広がっているので、大学で学んだことを土台にして、一日も早く貿易立国・日本を支えるような人材になりたいと思っています。
※掲載内容は取材当時のものです。