公務員・教員
法律と経済の両方を学んだこと、企業への就職を志して頑張ったこと。
すべてが、公務員という新たな道を切り拓く力となった。
湖南市役所職員採用試験合格、おめでとうございます。
受験を決意されたきっかけについて、お聞かせください。
ありがとうございます。
実は、4年生の7月に願書を提出する直前までは、公務員採用試験の受験はあまり考えていませんでした。それまではずっと、民間企業への就職活動に取り組んできたんです。
第一志望は信用保証協会でしたが、選考で受かることができませんでした。その結果が出たのが、4年生になったばかりの春。他の企業からは内定をいただけたのですが、「自分が本当にやりたい仕事とは違う」と感じて、その後も就活を続けました。
そんなある日、湖南市の自宅に届いた市の広報紙に、職員募集についての記載があるのを見つけました。以前から「法学部で学んでいるし、公務員も視野に入れるべき」といったアドバイスをくれていた親から「いい機会だから受けてみれば?」と勧められ、僕は改めて考えを巡らせてみました。市役所には幅広く様々な業務があり、僕が大学で学んだ知識を生かせる仕事もあるはずだと。そして第一志望だった信用保証協会が公的機関であったことから、「公共に役立つ」という職務への関心は持っていました。「公務員という立場でしかできないこともあるのでは?」という想いも沸き起こり、僕は地元の湖南市役所の採用試験を受ける決心を固めたのです。
最初から公務員志望だったわけではなかったのですね。
経法大にはどのような希望を抱いて入学されたのですか?
大学を選ぶ時に希望していた学部は、法学部か、経済学部か、社会学部でした。工業高校で技術分野の知識を身につけていましたので、「あとは経済と法律を学べば、社会のどこに出ても通用するのでは?独立起業も視野に入れることができるかもしれない」と考えていたのです。そんな僕の希望にぴったりの大学が、経法大でした。経法相互乗り入れ制度により、両方の学部の科目を履修できる。また、Sコースなど、より専門性の高い学習ができるプログラムが充実している点も魅力でした。法学部を選んだのは、「経済活動については、社会に出てから仕事の中で学べることも多いかもしれない。だからまずは法律を学ぼう」と思ってのことです。
実際に経法大で授業を受けてみて、どのように感じましたか?
法学では、民法が最も興味深く感じられました。日常生活に関わりが深く、身近な法律であるとともに、いろいろな解釈を広げることができる。ケースによって変化する、自分の手で切り開いていける分野なんです。ゼミでも民法の判例研究に取り組みました。グループで調べて、ディスカッションや発表を行うといった取り組みの中で、「相手にいかにわかりやすく伝えるか」といったコミュニケーション能力を高めていくことができたのも良かったと思います。
経済系の科目では「経営実践」がおもしろかったですね。ブライダルなどの式典に関わるビジネスを手掛ける企業とのコラボレーションプロジェクトに取り組みました。成人式に関連するビジネスのアイデアを、実際の客層の年齢に近い僕たち学生が企画し、その企業に提案する、といった内容です。コンサルティングビジネスに近いことができ、とても刺激的な経験になりました。またこの授業でも、グループで意見をまとめたり、企業担当者の方にプレゼンテーションをしたりといった体験を通じて、コミュニケーション能力や協働する力を養うことができたと思います。講義を聞いて知識を得るという授業だけでなく、実際に行動する中で実社会でも役立つスキルが身につくような授業が多く、かつては口下手だった僕も、話すことに自信が持てるようになっていきました。
企業への就職活動には、どのような考え方で取り組みましたか?
就職への意識が高まり始めたのは、2年生の秋頃。1年上の先輩たちがキャリア演習を受け、就活準備をスタートしていたので、「もう来年には僕も就活を始めるんだ」という実感がわき上がったんです。その頃に受けていた授業が、先ほど話をした「経営実践」です。この授業を通じて、僕は「就職するならコンサルティング会社がいい」という希望を抱くようになりました。先生に相談をすると、「コンサルティングって、営業職と似ているよね」と、僕の視野をさらに広げるようなアドバイスをくださったんです。コンサルティングも営業も、「相手と話してニーズを聞き出し、それに答えるモノやサービスを提供する」という点は同じ。そこに気づかされた僕は、コンサルティング会社と営業職という、二つの軸で就活に取り組もうと決めました。
3年生からキャリア演習を履修し、就活キャンプにも参加。最初は何をどうすればいいかもわからなかったので、キャリア演習で就活の進め方や履歴書の書き方など、就活の基本知識を身につけました。キャリアメンターの先輩の存在も、頼もしかったですね。体験に基づいたアドバイスをもらったり、先輩が書いた履歴書や自己PRを見せてもらったりと、参考になることばかりでした。
信用保証協会を志望したのは、「中小企業が融資を受ける際に、保証人となる」という事業の中で、自分が学んできた知識が発揮できると感じたからです。公的機関ですから、法学の知識は必要になる。高校で学んだ工業の知識があるから、町工場などの顧客の事業を理解しやすい。経済学の観点から、顧客の経営状況を見極め、意見が言える。「これだ!」と思えたからこそ、受からなかった時は本当にショックでした。立ち直ってもう一度動き始めるまで、2週間位かかったほどです。
厳しくつらい状況からしっかりと切り替えて、
公務員採用試験を突破されたのは、とても立派ですね。
湖南市役所の採用試験は、一次が筆記試験、その次に個人面接とディベート形式のグループディスカッション、最後にもう一度個人面接、といった内容でした。経法大の公務員コースで学んでいる学生のように、4年間、公務員をめざして頑張ってきた学生もたくさんいます。そんな中、僕が同じようなやり方で挑もうとしても、付け焼き刃では役に立ちません。「自分のやり方でやろう」と決めた僕は、まず筆記試験対策として、自分の得意分野である、文章理解、判断推理、数的推理といった科目の勉強に、集中的に取り組みました。これらの科目は、企業への就活の中で学んだSPIと共通する点も多く、その応用で理解を進めることができたんです。
面接やグループディスカッションは、民間企業の選考で何度も経験し、就活キャンプでの模擬面接でも鍛えられましたから、自信がありました。実際の湖南市役所の面接では、「こういったケースで災害が起きた時、どう対応しますか?」といった政策に関わる質問を受けましたが、事前に市政概要をよく読み、その上で、湖南市民として生活してきた自分の視点で考えてきたこと、気づいてきたことをふまえて、しっかりとした意見を話すことができたと思います。
合格発表は11月。インターネットで市役所のサイトから合格を知った時は、ちょっと体が震えました。すぐに母にも知らせて、「おめでとう」と言ってもらえました。
今後の抱負についてお聞かせください。
卒業までに、自動車の運転免許を取りたいと考えています。車で、自分の市をいろいろと見て回りたいと思っています。湖南市には、国宝に指定された建造物のある寺院もありますし、そういうのを自分の目でしっかりと見ておかないとダメだと思うんです。
将来的に取り組んでみたい仕事は、徴税や都市計画。せっかくなので、行政機関でしかできない仕事に挑戦したいです。徴税では、「税金を納めるのが難しい経済状況にある市民の方が、どうすれば納税できるようになるのか」といった、コンサルティングに似た課題に取り組むこともできるでしょう。都市計画には、自分の考えで街並みが変わっていくという大きな魅力がある。湖南市は商業施設が充実しているので、交通インフラの課題を解決すればもっと人が集まると、僕は考えています。いずれにせよ、これまで学んできた知識が生かせる仕事がたくさんあるでしょうし、これからが楽しみです。
※掲載内容は取材当時のものです。