公務員・教員

編入学をしてまで叶えたかった、公務員になるという夢。
支えてくれた方々への、感謝の気持ちが尽きない。

枚方市役所職員採用試験 合格井上 厳 さんGen Inoue法学部卒(2015年3月) / 大阪府立 桜塚高校 出身

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枚方市役所職員採用試験合格、おめでとうございます。
公務員を志したきっかけについてお聞かせください。

ありがとうございます。
私は経法大には、3年生から編入学しました。それまでは他の大学で3年間、食品安全工学を学んでいたんです。高校からその大学に進学を決めた理由は、周囲のすすめで「理系のほうが就職に有利かもしれない」と感じたからで、その頃は特に将来やりたい仕事などもありませんでした。でもその大学で、学園祭の実行委員を務めたことが、私にとって大きな転機となったのです。
地域の方々にも楽しんでいただける学園祭を実現させるため、実行委員の私たちが地元のお祭のお手伝いをし、そのノウハウを学ぶという機会があったんですよ。その時に、市役所の方々とやりとりを重ねる中で、「地域のために働く」という公務員の仕事に魅力を感じました。それが、公務員を志したきっかけです。

では公務員をめざす学習のために、経法大に編入学したのですね?

はい。大学3年生になって、やっと公務員という将来の夢を見つけましたが、以前通っていた大学にはそのための学習環境がありません。そこで、Sコース(特修講座)が無料受講できるなど、公務員をめざす上でのサポート体制が充実している、経法大への編入学を決意しました。経済と法律の両方が学べるという点も魅力でしたね。これまで学んできた理系の知識にプラスすれば、非常に多角的な視点を持った公務員になれるのではないかと感じました。
実際にこの大学に来て、「公務員になるためにこんな勉強がしたい」という自分が考えているレールに、大学のカリキュラムがしっかりとはまる感覚が得られたのがうれしかったですね。また、どんな科目を選択するのがいいのか、教務課の職員の方に相談に乗ってもらえたのがありがたかったです。文章理解や数的推理、公務員のための憲法や経済学など、採用試験にかかわる科目を中心に、公務員をめざす上で学ぶべき科目、学びたい科目を選択できました。中には、すでに定員に達していた科目でも、「これは絶対に受けておいたほうがいい」と教務課の方が定員の枠を増やしてまで選択させてくれた科目もあり、柔軟で親切な対応をしてもらえたことに感謝しています。

Sコースでの学習には、どのような印象を持ちましたか?

3年次から編入学した私は、他の受講生と比べて2年間の遅れがあります。法律の知識などの差は明らかですので、まずは法学部の授業でより広く浅く学んでカバーしながら、早くみんなに追いつこうという気持ちで取り組みました。ありがたかったのは、Sコース専用の自習室があったこと。講座が終わったあと、夜10時までこの自習室で復習と予習ができ、それが学力向上につながったと感じています。
講師の先生も、編入生の私に細やかな配慮をしてくださいました。「わかっていますか?」と私に声をかけながら講座を進め、私の質問にも熱心に答えてくれたので、少しずつ周囲との差を縮めていけたと思います。
一番苦労したのは、法律的な視点での考え方がなかなかできなかったことですね。これができるようになったのは、自習やSコースの先生の指導のおかげでもありますが、公務員特別演習で実際に公務員として働いている方々から直接お話を聞けたことが大きかったと思います。「市役所などでは、何かがしたければ、法律、条例の根拠が必要」と、実務の面から法律の意味や必要性について教わり、「法律は、ただあるだけではなく、使われるため、守られるためにあるんだ」と実感できたことで、それ以後はSコースでも理解が早くなりました。

公務員特別演習では、かなり実践的な学びができたのですね?

授業を担当されている藤島先生も、公務員としての実務経験をお持ちの方なんです。先生からも公務員として働く上で必要な視点について教わり、また、八尾市役所の見学をはじめ、実際の公務員の方々とふれあいながら学ぶ機会が十分すぎるくらい多くあったことで、自分たちが将来どんな仕事に携わるのかを具体的にイメージできたのがよかったと思います。
また、公務員特別演習での学びを通じて、法学部学生研究発表会に参加したことも貴重な経験になりました。公務員特別演習では、それぞれが関心を持った問題について「自分が行政の立場にあればどうするか?」を考えて、解決策の提案を行うというかたちでの研究発表に取り組みました。私が選んだテーマは「義務教育下における教室環境」。最初のリハーサルでは、自分ではよくできたと思っていたのですが、先生や他のゼミ生から「わかりにくい」といった指摘を受けました。これを受け、私はより多くの人に伝わるような発表ができるよう、資料の作り直しや、話し方の工夫などに取り組みました。先生や友人も何度もリハーサルに立ち会ってくれ、本番直前の一週間は、毎日遅くまで先生が指導してくださいました。そのおかげで、研究発表会当日、私の発表が一位に選ばれたのです。これまで味わったことのない達成感でした。この経験を通じて「人に伝える」という力を大きく伸ばすことができたと思います。

公務員採用試験に向けて、他にも取り組んだことはありますか?

筆記試験の対策は授業やSコースで行ってきたので、「あとは面接の練習を」と考え、模擬面接を何度も受けました。キャリア支援課に申し込んで受けさせてもらったり、公務員試験対策合宿などに参加したり。最初は「話が長くて要点が伝わらない」といった指摘を受けました。それを改善することを意識して、数え切れないくらい何度も模擬面接を繰り返してきました。また、Sコースの友人と、ボイスレコーダーで録音をして、それを聴き直すことで自分たちの話し方の課題を探る、といった取り組みもしました。大阪樟蔭女子大学との合同グループディスカッションに参加したことも、いい経験になったと思います。そうした積み重ねのおかげで、面接には自信を持って臨むことができました。

しっかりと準備を整えて、採用試験に臨んだのですね?

それでも、すべてがうまくいくというわけではありません。最初に受けた豊中市役所は、合格することができませんでした。豊中市は私が住んでいる市で、「ここで働きたい」という気持ちが強かっただけに、ショックでした。両親や教職員の方々、友人みんなも私の合格を期待してくれていたし、自信もあったのに…。私は悩みました。実は豊中市を受けたあと、万が一を考えて民間企業の選考も受け、製薬会社からの内定をいただいていたのです。でもまだ、他の市役所の採用試験を受けることだってできる。親に相談すると、「じゃあ、これで就活を終わりにするの?」と改めて問いかけられた時、「やっぱりあきらめたくない」という自分の気持ちがはっきりしました。私のこの想いを受け止め、親も「やるだけやりきりなさい」と言ってくれました。そして、私は再びやる気を奮い立たせたのです。
枚方市役所の試験は、10月からという一番遅い日程でした。枚方市は政策の面でも豊中市と共通点の多い中核市で、特に「健康医療都市」「教育文化都市」という都市ブランドを掲げ、教育と医療の充実を図っている点を魅力と感じて、受験を決意したのです。

つらい経験を乗り越えての合格だったというわけですね。

枚方市役所の合格発表は12月。友人はほとんどみんな進路が決まっていましたから、自分はまだなんだという不安な気持ちと、一度不合格になったことで自信も失いかけていましたから、なかなか発表を見る勇気がおきずにいました。でも試験を一緒に受けた友人から「厳ちゃんも受かってたよ!」と教えてもらい、そこで初めて、合格したということがわかったんです。うれしさもありましたが、それ以上に、支えてくれた人たちにやっと感謝の報告ができる、という気持ちが沸き起こりました。
あきらめないで、本当に良かった。でも振り返ってみると、あきらめることなんてできなかった、とも感じます。自分は公務員になるために編入学までして、仲間たちと一緒に頑張って、親や教職員の方々にサポートしてもらって、前へ前へと進んできたのですから。感謝の想いが尽きません。

今後の抱負についてお聞かせください。

多くの方に住み続けていただくまちづくりに貢献したいですね。税金をいただいているので、それ以上のことをしなければ、という責任感を強く感じます。
具体的に携わってみたい仕事も、いろいろありますね。例えば子どもたちの教育環境については、大学で研究した経験を生かして、教育文化都市としての教育環境の充実を図るお手伝いができれば、と考えています。また、私が公務員をめざすきっかけとなった、地域のお祭の企画運営などの仕事にも挑戦したいですね。廃棄物減量等推進審議会など、ごみの問題を解決するための職務にも強い関心を持っています。
そして何より、市民の方々に「この市に住んでいてよかった」いう満足感を与えられる公務員となれるよう、これからも成長を重ねていきたいと思います。

受験生の皆さんへのメッセージ

大学に入る前から、自分の夢や目標をはっきりさせることは難しいと私は思います。私も前にいた大学で3年間過ごすことで、ようやく夢を見つけることができました。みなさんもきっと、4年間の大学生活で何かを見つけることができるのではないでしょうか。経法大には、Sコースや留学制度など、いろいろなことに挑戦できるチャンスがたくさんあります。学べる科目などの選択肢も多いですし。まずは興味を持ったことに積極的に挑戦してみることが、いいきっかけになると思いますよ。そして夢や目標が見つかれば、そこに向かって全力を尽くしてほしいですね。この大学でなら、協力しながら一緒に頑張れる友人も見つかるでしょうし、教職員の方々も全力でサポートしてくれます。とにかくまずは、自分が成長できる機会があると思ったら、飛び込んでみることです。きっとあなた自身の未来が、そこから変わりますよ。

※掲載内容は取材当時のものです。

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