公務員・教員
一度は揺らいだ公務員への思い。
4年間の学修内容とサポートが、私に自信と覚悟を与えてくれた。
大阪市役所採用試験合格、おめでとうございます。
公務員を志すようになったのは、いつ頃からですか?
小学生の頃から「公務員になりたい」と親や周囲の人たちに話をしていました。しかし、本気でなりたかったわけではなく、そう言うと「すごいね」と言われるのが嬉しかったからなんです。
本気でめざすようになったのは、大学進学を目前に控えた高校3年生の時。将来の進路について真剣に考えてみたところ、「案外、昔から言い続けてきた公務員が自分に向いているのかな」という結論に至り、公務員試験に関する学修環境が整っている経法大に進学することに決めました。
民間企業からも内定を獲得されたそうですね。
はい。実は公務員試験の直前まで、公務員になって実現したいことがあったわけではなく、漠然と「公務員になりたい」という気持ちしか持っていなかったんです。そんな中、就職活動が解禁され、友人たちが次々と内定を獲得していく中で、「自分も民間企業を受けて内定をもらっておかなければ」という焦りが大きくなり、民間企業を受けることにしました。
そして、5月ごろにある民間企業から内定をいただいた時、あろうことか公務員試験には挑戦せず、そのまま就職しようと考えてしまったんです。コロナ禍で、早く安心したいという気持ちからの選択でした。しかし、少し冷静になってみると、公務員試験から逃げた自分があまりにも情けなく、惨めだと感じ、思わず涙が溢れてきました。「なぜ、この大学に入ったのか思い出せ。公務員という道をめざそうと思ったからではないのか」。そう自分に言い聞かせ、ようやく公務員試験に向けた勉強に本腰を入れるようになりました。5月半ばの出来事でしたが、大阪市役所の採用試験は6月28日。直前も直前、土壇場になって、ようやく本気で公務員をめざす覚悟を決めたわけです。
大学では、どのような学修に取り組まれましたか?
公務員に対する明確な志望動機がなかったとはいえ、1年生から人並みには公務員試験対策に取り組んでいました。まず挙げられる対策は、「Sコース(特修講座)」。公務員という同じ夢に向かう仲間と、お互いに刺激し合いながら学修を進められる環境はとても貴重でした。一人ではきっと、モチベーションを維持することができなかったと思います。ここで出会った仲間の存在は、大きな励みになりましたね。
また、「公務員特別演習」にも力を入れていました。1年生では公務員について基礎から学び、その職責を深く理解することができました。2年生からは、授業の冒頭に1分間自己PRに取り組みました。この1分間自己PRで、自分の思いを相手に伝えるスキルを磨くことができたと感じています。3年生になると、いよいよ公務員試験に向けた実践的な学修が始まりました。中でも特に力を入れたのが、苦手意識を持っていた論文対策です。もともと文章を書くのが苦手だった上、読書をする習慣もなかったため、最初は論文とは呼べない代物しか書くことができませんでした。先日、部屋を掃除している時に当時の論文が出てきたので少し読んでみましたが、自分でも何を書いているのか理解できない程ひどい出来で、「よくこんなものを先生に提出していたな」と呆れてしまいました。ただ、そんな論文でも先生は、必ず良い点と悪い点を指導してくださったので、書くたびにレベルアップしていけたんだと思っています。
あとは、ゼミでの学修も忘れられません。『仕事と家族: 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』(筒井淳也著)という書籍を読み込み、自分の見解を交えながら、取りまとめた内容を発表するという授業でした。昨今、よく新聞にも取り上げられているジェンダーや少子化などの問題について、自分なりの考察を深めることができたと感じています。この学修がきっかけとなり、男女共同参画施策や女性活躍促進などのダイバーシティを推進している、大阪市役所の市民局に興味を持つようにもなりました。
公務員試験のために、どのような準備をされたのですか?
大阪市役所の筆記試験はSPI(Synthetic Personality Inventory:総合適性検査)と論文。論文は公務員特別演習で鍛えていただきましたが、SPIに関しては大学での勉強だけではなく、自分で参考書を購入して1日10時間くらい勉強していました。
法律系の授業も多く履修し、民法や刑法、憲法をはじめ、労働法や社会保険法、社会福祉法など、興味の広がりに応じて幅広く学修しました。大阪市役所の採用試験に直接的に役立ったとは感じませんでしたが、公務員の基本義務である法令遵守への意識が強くなったと感じています。
また、公務就職支援室にも大変お世話になりました。少しでも不安なことがあると、すぐ相談に行きましたし、就活に関することを一から十まで指導していただいたので、本当に感謝しています。試験直前になると、週の半分は公務就職支援室へと足を運び、面接練習にも励みました。その際、職員の方から「もっと話をコンパクトにまとめた方がいいよ」と言われたのですが、なかなかうまくいかずに悪戦苦闘。そんな私の姿を見て「どんな質問にも30秒で答える練習をしてみよう」とアドバイスをくださいました。そこから、30秒での受け答えを身体に覚え込ませる「面接の素振り」をひたすら繰り返すことで、自分でも驚くほど話がコンパクトになっていきました。
論文についても、最後の総仕上げとして自分で設定したテーマで論文を書いて、先生に添削してもらっていました。個人的な練習に根気強く付き合ってくださった先生のおかげで、最後まで納得のいく対策ができたと感じています。こうした強力なサポートが、試験直前に対策を本格化した私に自信と覚悟を植えつけてくれました。
本番の試験でも、その成果を発揮できましたか?
そうですね。培ってきた成果は十分に発揮できたと思います。ただ、論文だけは対策してきた内容とは違う傾向の出題だったため、正直かなり焦りました。「とりあえず、いったん落ち着こう」。そう思って深呼吸をしてから改めて問題に向き合ってみると、これまで意識して見聞きしていた時事ニュースの知識や、それに対する自分の考えを組み合わせることで、思いの外すらすらと書き進めることができました。また、書いているうちに先生に添削していただいたことのある論点や内容を活かすこともでき、自分でも納得の出来に仕上げることができました。
面接試験についても、「大阪市をどんな街にしていきたい?」「立場の違う人と関わるときの工夫は?」といった正解のない質問が多かったのですが、練習の成果を発揮して簡潔に受け答えできたと思います。三次面接での「ダメだと思う大阪市の施策は?」という質問は想定外だったので焦りましたが、臨機応変に切り返すことができたので、これまで取り組んできた対策の成果を実感できました。
合格を知った時は、どんな気持ちでしたか?
試験内容には手応えを感じていたので「絶対に受かっている」という自信はありましたが、「もしかすると落ちているかも……」という不安な気持ちも拭いきれず、複雑な心境で合格発表を待っていました。そのため、大阪市のホームページに合格発表のページがアップされた瞬間は、スマートフォンを持つ手が震え、心臓が止まるような思いでしたね。恐る恐る画面をスクロールしていき、自分の受験番号を見つけた時は、思わず「あっ!」と大きな声をあげてしまいました。不安だった気持ちはどこかへ吹き飛び、喜びと安堵で胸がいっぱいになりました。「本気で取り組めば、結果はついてくるんだ。諦めず頑張って本当に良かった」、そう思いながら、公務員になる自覚と自信も湧き上がってきたのを覚えています。
今後の抱負についてお聞かせください。
法律系の知識をさらに深めるために、今は行政法を学修しています。これまで学修してきた法律とはレベルが違う難解さなので、Sコースの教材を活用しながら少しずつ学修を進めています。ただ、どれほど学修を深めても、入庁後は右も左もわからない一年生です。誰に対しても尊敬の気持ちを持ち、多くのことを積極的に吸収していきたいと思っています。
また、将来的に成し遂げたい目標が2つあります。ひとつは、女性ばかりではなく男性も子育てに参加しやすい街にすること。ダイバーシティというと女性やマイノリティに議論が集中しがちですが、男性の育休取得率を上げていくことで、総合的に暮らしやすい街づくりを推進していきたいと考えています。
そしてもうひとつ、防災関係の施策に取り組むことです。震災を経験したことがない若い世代の多くは、有事の際にどう対応すれば良いかわからないと思います。未来を担う若い世代をどのように守っていけばいいのか、大阪市の課題として突き詰めながら、安心して暮らせる街にしていきたいですね。
※掲載内容は取材当時のものです。
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