公務員・教員
挑戦と努力を継続して掴み取った合格。
働く人の安全や健康を確保するため、
これからも挑戦を続けていく。
労働基準監督官を志したきっかけについてお聞かせください。
最初から労働基準監督官を志していたわけではなく、漠然と公務員を志望していました。きっかけは高校3年生の時。将来の進路について考えた際、明確になりたい職業がなかった私は、プライベートも充実した生活を実現するためには、何よりもまず安定した仕事が必要だと考えました。安定していて、社会の役に立てる仕事は何か。そう考えると自然と選択肢は公務員に絞られました。
経法大を進学先に選んだのは、名実ともに公務員に強い大学だったからです。経法大には「Sコース(特修講座)」や「公務員特別演習」など、公務員をめざす学生にとって充実した学修環境が整っています。そのような環境で学修を進めていくうちに、漠然とした公務員志望から、地元の大阪府庁や隣接する県庁で働く公務員像を描くようになりました。
労働基準監督官は、公務員特別演習の先生から勧められ、業務内容を調べるうちに興味を持つようになりました。
労働基準監督官の魅力はどこにあるのでしょうか?
最近はブラック企業という言葉が定着していますが、法律知識の不足から気付かないうちに不利益を被っている人はたくさんいます。そのような人を一人でも多く救い、労働環境をホワイトにする仕事。それが、労働基準監督官です。
労働基準監督官は厚生労働省の専門職員で、労働基準関係法令に基づいてあらゆる職場に立ち入り、労働法を遵守しているかを確認します。都道府県庁などでも労働環境の改善に携わることはできますが、労働基準監督官ほど直接的に関われる職業はありません。働く人の安全や健康の確保を図ることは、労働者や企業だけではなく、社会全体にも良い影響を及ぼす重要な仕事なので、大きな魅力と意義を感じています。
大学ではどのような学修に取り組まれたのですか?
正課授業では、公務員採用試験に向けた基礎を固める学修に取り組めたと感じています。たとえば、2年生の「労働基準法」では、法定労働時間や休日・有給休暇など、基礎的な労働条件について学びました。また、3年生で履修した「労働契約法」では、企業と労働者の間で締結する労働契約についての基本的なルールを学びました。労働基準法も労働契約法も、「労働条件」に関する法律ですが、労働契約法が使用者・労働者間について規定した「私法」に対し、労働基準法は国・使用者間について規定する「公法」です。このような違いも含め、基礎を構造的に理解することができました。
試験に直結した学修としては、どのようなものがありますか?
やはり「公務員特別演習」と「Sコース(特修講座)」ですね。「公務員特別演習」と「Sコース(特修講座)」では、試験に役立つ実践力が磨けたと思っています。
「公務員特別演習」は2年生から4年生まで履修していましたが、公務員を志す仲間が集まるので、学修へのモチベーションを自然と高めることができます。公務員として持つべき心構えから面接対策の授業まで、実践的な内容を教わることができました。先生が論文のテーマを出題してくださり、授業時間を使って論文を書き上げることもありましたね。この演習がきっかけで授業以外でも個人的に論文を書くようになり、書けば書くほど知識も実力もアップしていくのがわかりました。
「Sコース(特修講座)」では、試験に出題される科目をピンポイントで学修できました。私は数的処理が苦手だったので、先生に質問したり、友人に教えてもらったりしながら、繰り返し問題を解くことで、苦手意識を克服していきました。専門科目では労働法や憲法、民法などの法律科目だけでなく、経済学や社会学などからも出題されます。法学部生にとって馴染みの薄い経済学はとても難しい印象でしたが、先生が実例を挙げながら工夫して教えてくださったおかげで、具体的なイメージを画くことができ、スムーズに理解を深めることができました。
大学生活で印象に残っていることはありますか?
資格取得に励んだことが印象に残っています。ビジネス実務法務検定試験や法学検定試験、宅地建物取引士資格試験、ITパスポート試験、ICTプロフィシエンシー検定試験など、さまざまな試験に挑戦して資格を取得しました。
特に宅地建物取引士は、当初めざしていた府庁で都市計画や建築関連の部署に配属された際に役立つ知識だったので、必ず取得したいと考えていました。試験対策に多くの時間を費やし、2年生での挑戦は、残念ながら不合格。自信があっただけに、とても悔しかったですね。2年生の間に必ず何かの資格を取得しようと気持ちを切り替え、法学検定試験のスタンダード〈中級〉コースに挑戦しました。結果は見事合格。宅地建物取引士も3年生で再チャレンジし、合格しました。大学生活を通してさまざまな資格試験に挑戦したことで、幅広い知識と自信を得ることができたと感じています。
試験本番に向けて、どのような準備をされたのですか?
書き上げた論文を公務就職支援室の職員の方に添削していただいていました。公務員特別演習でも、志望する自治体で過去に出題されたテーマを調べ、個人的に書き上げた論文を持ち込んでいました。ある程度の自信はありましたが、「自分の伝えたいことばかりを書いている」、「公務員としての視点が不足している」など、客観的なフィードバックをいただきました。添削していただく度にレベルアップすることができたと実感しています。
また、面接の練習にもかなり力を入れました。キャリア演習の授業で自己分析や面接の練習に取り組んでいたので、自分では完成度が高いと思っていましたが、就活実践キャンプで模擬面接していただいた際、いかに自分の分析が浅く、志望先に関する知識が不足していたかを痛感させられました。今にして思えば当然の結果なので、就活実践キャンプで自分の認識の甘さに気付くことができて本当に良かったと思っています。
その後、キャリアセンターでも模擬面接をしていただき、自分の課題を浮き彫りにして改善する日々を送りました。複数の方に繰り返し模擬面接をしていただくことで、落ち着いて対応する力が身に付いたと感じています。
筆記試験の対策として、毎日、大学が閉まる時間まで友人と図書館に残って勉強しました。お互いの得意科目を教え合うことで苦手分野を補えました。勉強に対するモチベーションを維持するためには仲間の存在は不可欠です。公務員をめざす者同士、切磋琢磨できる環境はとても有り難かったですね。
本番の試験でも、その成果は発揮できましたか?
一次の筆記試験は勉強してきた成果をしっかり発揮できました。平均点以上の点数を取ったという手応えもありました。記述問題は、過去問がなく、ほぼ事前対策ができないまま本番に臨みましたが、これまで論文を書き上げて培った力が役立ち、何とか乗り越えることができました。
二次試験の個人面接は、予想とは違ってフランクな雰囲気だったので、緊張することなく受け答えができました。これも練習の成果だったのかもしれません。しかし、面接は筆記試験とは違って正解があるわけではないので、筆記試験の時のような手応えはありませんでしたね。人事院での面接のあと、大阪府労働局での面接がありましたが、労働局で「採用です」と言われるまで、精神的には緊張状態が続いていました。
今後の抱負についてお聞かせください。
大学4年間を通して、学修面ではさまざまな挑戦と努力を継続してきました。公務員採用試験には合格しましたが、まだスタートラインに立っただけなので、これからも多くのことに挑戦していきたいと思っています。現在も危険物取扱者試験乙種の勉強をしていますが、行政書士など他の資格試験にも積極的に挑んでいく予定です。
挑戦で得た知識や経験を活かし、多くの企業の労働環境の改善に取り組み、一日も早くより裁量のある仕事を任されるようになりたいですね。
※掲載内容は取材当時のものです。