公務員・教員
祖母を詐欺から守れなかった悔しさを胸に、
犯罪を未然に防げる警察官をめざす。
大阪府警察の採用試験合格、おめでとうございます。
まずは、警察官を志したきっかけについてお聞かせください。
ありがとうございます。
警察官に興味を持ったのは、高校2年生の時。警察官の方が学校に説明会に来られたのがきっかけです。説明会で話を聞くまでは、正直、あまり警察官のイメージは良くなかったのですが、見えないところで犯罪を未然に防ぐ活動に励み、被害者のために必死で捜査活動をしていることを知り、警察に対するイメージが大きく変わりました。
また、説明会を聞いたことで中学生の時に祖母がオレオレ詐欺の被害に遭ったことを思い出し、当時のことを聞き直してみたんです。そこで初めて祖母がどれほどの精神的ダメージを受けていたかを知りました。被害当時、僕も祖母の家にいたので、「自分がしっかりしていれば未然に防げたかもしれない」と思うと悔しくてたまらず、こういった犯罪をなくし、大切な人たちが安心して暮らせる世の中をつくるためにも、警察官になりたいと思うようになりました。
経法大に入学されたのは、警察官をめざすためだったのでしょうか?
そうですね。高校の先生からも、「公務員をめざすなら、合格実績の高い経法大がいい」と勧められましたし、法学部に公務員コースがあることや、「Sコース(特修講座)」にも魅力を感じました。専門学校に行くという選択肢もありましたが、大学に行った方が社会人としての素養も幅広く学べると考え、経法大に進学することに決めました。
警察官をめざして、経法大ではどのような学修に取り組んでこられたのですか?
1年生からさっそく、公務員対策のための学びをスタートさせました。正課の授業では、「数的処理」や「判断推理」など試験対策の基礎固めを行い、Sコースの公務員講座では、その応用を学ぶという形で、相互に連携した学びを進めていきました。試験本番が迫ってきてから慌てて勉強するのではなく、普段から授業の中で自然に試験対策ができていたので、余裕を持って学修を深めることができたと思います。
また、印象に残っているのが、「刑法各論」や「公務員のための刑事法」などの法律系の授業です。普段の生活の中で「これって、なぜこんなルールになっているんだろう?」と、ふと疑問に思うことがよくあり、その答えを知るために履修したのがきっかけです。疑問が解消されていくたびに、どんどんおもしろくなってきて、「もっと深く学びたい」と思うようになり、「刑事手続法」や「刑法」なども積極的に履修しました。純粋な興味からはじめた学びでしたが、結果的には警察官になった時にも役立つ知識を得られたと感じています。
大学生活を振り返って、印象に残っていることはありますか?
就活実践キャンプと「公務員特別演習」が印象に残っています。就活実践キャンプでは、漠然としていた就活の全体像がハッキリしたのと同時に、自己分析や情報収集の甘さも痛感しました。取り組むべき課題や調べないといけないことも明確になり、一気に意識が就活モードに切り替わりました。
また、「公務員特別演習」の面接練習でも、意識が変わるようなアドバイスを数多くいただきました。なかでも印象深いのが、悩んで作り上げた2つの志望理由について、「先生はどっちの方がいいと思いますか?」と相談した時のこと。どちらの理由が面接官により響くのか、客観的な意見をもらおうと思っていたのですが、「君の本心はどっちなの?」と言われ、ハッとしました。理想論を振りかざすのではなく、自分の本当の思いを素直に伝えることの大切さに、その時改めて気づくことができたんです。そのおかげで、内容の濃い志望理由をつくることができました。
面接練習では、志望理由以外にもさまざまな想定問答をしていただけるのですが、他の受け答えについても、「良いことを言おうとして小手先の内容になっている」という指摘が多かったです。指摘されて冷静に考えてみると、確かに自分の受け答えは表面的な部分が多く、自分なりの考察も足りていませんでした。指摘されるたびに練り直し、少しずつ考えを深めていく。この作業は、本当にありがたかったです。
また、授業では実際に社会で起こっている事件や事例を通して、警察官に必要な理性や社会性について教えていただくことで、精神面を磨きながら警察官への意欲を高めていけました。元警察官の先生に教えていただけるので、一つひとつのお話に説得力があり、非常にためになったと感じています。
大阪府警の採用試験には、どのように臨まれましたか?
実は、昔から消防にも憧れがあり、消防も受験していたんです。その試験の兼ね合いで、警察は大阪府警察しか受けていませんでした。結果は、消防はすべて残念な結果に終わり、大阪府警察も筆記試験はパスできましたが、二次試験の面接で落ちてしまいました。
自信を持って堂々と受け答えしたつもりでしたが、自信満々すぎて面接官には偉そうに映っていたのかもしれないと、後から冷静に振り返って反省しました。
他の警察は受けていなかったので、正直焦る気持ちもありましたが、「この経験を必ず次に活かそう」と心に決めて、大阪府警察の二次募集に再チャレンジ。「公務員特別演習」で言われた「君の本心は?」という言葉を思い出し、自分の思いを正直に話すことだけに意識を集中しました。その甲斐もあって、無事に合格することができました。
一次募集では悔しい思いをしているので、喜びも相当なものだったでしょうね。
そうですね。合格を知った時は素直にうれしかったですし、心の底からホッとしました。そして、やっぱり祖母の顔が浮かんできましたね。祖母を詐欺から守れなかった悔しさや辛さを、もう二度と味わいたくない。同じような被害者を絶対に出したくない。そんな思いが胸に渦巻き、警察官になる覚悟のようなものが強くなりました。
今後の抱負についてお聞かせください。
まずは警察学校でしっかり勉強し、晴れて警察官になれたら、詐欺防止活動に力を入れていきたいと思っています。そして、住民や被害者の気持ちに寄り添える警察官になりたいですね。そう思うようになったのは、大学で性犯罪被害者の方の講演を聞いたことも大きかったですね。その方のお話では、聞き取り調査をした警察官の対応や話し方に配慮が欠けていたためもう一度被害にあったような気持ちになったと仰っていました。犯人を捕まえること、事件を解決することだけに集中してしまいがちですが、被害者の気持ちを置き去りにしてはいけないと強く思いました。
そして何より、犯罪を未然に防げる警察官になりたいです。そのために、職務質問の技術も高めていきたいですし、交番勤務の警察官として、地域の最前線で住民のみなさんを犯罪から守りたいと思っています。
※掲載内容は取材当時のものです。