公務員・教員
各地の消防局や災害現場に足を運び、学んできたこと。
柏市という街の未来のために、生かしたい。
柏市消防局の採用試験合格、おめでとうございます。
消防官を志したきっかけについて、お聞かせください。
ありがとうございます。
叔父が大阪市消防局で救急救命士として働いていることもあり、子どもの頃から消防官に憧れを抱いていました。自分の将来の職業として、本気で意識するようになったのは、新潟県中越地震がきっかけです。テレビのニュースなどを通じて消防官の方々が被災者の救助活動に取り組む様子を知り、「自分も最前線で人の命を救いたい」と感じ、消防官になろうと決意しました。
高校卒業後すぐに消防官の採用試験を受けるという道もあったと思いますが、僕は「いずれは隊を率いるリーダーになりたい」と考えていたので、そのために必要ないろいろな考え方や知識を学ぼうと、大学進学を決めました。
経法大に入学後は、どのような学習に取り組まれましたか?
消防官採用試験の筆記試験対策については、Sコース(特修講座)の公務員講座で取り組むことができました。僕は勉強があまり得意ではなかったので、正直、ついていくのは大変でしたが、試験科目や出題傾向について詳しく教わることができたのは良かったと思います。講座をとおして、自分にあった勉強方法を探り、自分のやり方で勉強を進めていくことができました。
勉強が苦手とは言っても、筆記試験に合格しなければ消防官にはなれません。そこをどう工夫して乗り越えるかを考え、頑張りました。科目数も多いので、高校までの自分からは考えられないほど勉強しましたが、しんどいと思うことは一度もなかったですね。最終的に柏市消防局の最終試験でその成果を表すことができ、本当に良かったと思います。
授業では、どのようなことが学べましたか?
公務員特別演習では、消防官をめざす学生だけでなく、警察官をめざす学生とも一緒に学べたことが良かったですね。視点が変われば答えも変わる、ということを、いろいろな仲間とともに学ぶなかで実感でき、視野を広げることができたと思います。Sコースでも、国税官や自衛官など、公務員のいろいろな業種について学ぶ機会がありました。消防官だけに目を向けるのでなく、幅広い視野が養われ、そうしたなかで「それでもやっぱり、自分は消防官になりたい」という想いを再認識し、モチベーションを高めることができたと感じています。
消防官をめざす上で、他にはどのようなことに取り組んでこられましたか?
実は高校生の頃から、自分が興味を持った消防局や消防本部を訪問することを心がけてきたんです。訓練を見学させていただいたり、市民向けの講習などに積極的に参加したり。自治体ごとに消防に対する考え方や取り組みに違いがあるので、それを実際に自分の目で確かめて深く知ることで、「将来、自分がどんな消防署で、どんな働き方がしたいか」を、しっかりと考えることができましたね。
特に僕が関心を抱いていたのが、東京消防庁。新潟県中越地震での東京消防庁のハイパーレスキュー隊の活躍をテレビで見て、「できればここで働きたい」という希望を持っていたんです。幸い、東京消防庁には経法大の卒業生の先輩がいらっしゃるので、何度も足を運び、そのたびに先輩からお話やアドバイスをうかがうことができました。東京消防庁は競争率も高く、採用試験に合格することはできませんでしたが、千葉県の柏市消防局の試験を受けようと考えたのは、関東で働くということが最初から自分の意識の中にあったからだと思います。
いろいろな自治体の消防のあり方をその目で見てこられて、最終的に柏市消防局を志望されたのですね。
柏市には最初、「これから発展していく街」という印象を受けました。消防局も、まだまだ大きくなる可能性を秘めている。そこに、今まで自分が各地に足を運んで学んできたことが生かせるのではないか、と考えたんです。
採用試験を受けるにあたって、僕は柏市に5日間滞在しました。そして面接試験を受ける前に、市内を歩き回り、市民の方々とふれあい、いろいろな話をしました。「70年住んでいるが、この街が好きだ。孫の世代も住み続けてほしい」といった声を聞き、強い郷土愛を肌で感じました。受験する消防局がある街について事前に調べるのは当たり前ですが、本やインターネットだけではわからないことがある、やっぱり自分で街を歩き、町の人と話すのが一番だと、改めて思いました。
実際の面接試験では、柏市の街の方々とふれあい、「ここで消防局員として働きたい」という想いがより強くなったことを伝えると、面接官であった局長も熱心に話を聞いてくださり、結果、合格を手にすることができました。
実際に合格の知らせを受けた時は、どんなお気持ちでしたか?
やっと終わった、というのが正直な気持ちです。もちろんうれしく感じましたが、「次は消防学校をトップの成績で卒業することを目標にしよう」と、先のことにすぐ目を向けました。常に高い目標を持ち、それを達成できるかどうかでなく、そこをめざして努力することが大切だ、というのが、母の教えなんです。
実は柏市消防局の採用試験のあと、そのまま鬼怒川が決壊した茨城県の災害現場に直行し、ボランティア活動に取り組んだんです。広島の土砂災害の時も、大学の友人と現場に行きました。被害の状況も、それに応じてどのような救助活動が行われているかも、実際に現場で見なければわからないことばかりだと実感しました。地形によって災害の広がり方も違います。そうして自分の目で見て感じたこと、学んだことは、これからの仕事にきっと生かせると思います。
今後の抱負についてお聞かせください。
柏市消防局には、大きな災害時などで救助活動にあたる、特別救助隊と高度救助隊という組織があります。2〜3年後にはこれらの隊の選抜試験を受け、ゆくゆくは隊長になりたいというのが、僕の目標です。最終目標ではありませんが、そこをめざすなかで、一人でも多くの人を救いたい。そのためにもまず、消防学校で基本的な知識や技術を身につけ、より安全に活動するためには仲間とどう協働していくか、といったこともしっかりと考えながら、経験を積んでいきたいと思います。
※掲載内容は取材当時のものです。