公務員・教員

留学で培った英語力を
活かせる警察官になりたい。

大阪府警察・自衛隊一般幹部候補生 合格日髙 智輝 さんTomoki Hidaka法学部法律学科卒(2018年3月) / 大阪府立 吹田東高校 出身

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大阪府警察だけでなく、自衛隊一般幹部候補生にも合格されたのですね。おめでとうございます。
警察官をめざして経法大への進学を決められたのですね。

幼稚園の頃から漠然と刑事に憧れていました。明確なきっかけがあったわけではありませんが、自分のなかで警察官になることはずっと当たり前のことでした。
経法大は通常の授業だけではなく、警察官に備えた学修ができる「Sコース(特修講座)」を受講料無料で履修できる点が魅力でした。警察官の試験対策といっても、独学では何から手をつけていいのか分かりません。Sコースの授業は中学校・高校の各教科の復習から始まりますので、忘れていた知識を思い出しながら楽しく学ぶことができました。
しかし、2年生の秋学期から半年間、交換留学でマレーシアに渡航したため、Sコースは一時中断しました。

留学のきっかけは何ですか?

1年生のとき、大学演習の先生から薦められ、大阪府警主催の講習会に参加しました。そのテーマが「英語を使って仕事をする警察官」でした。警察内での英語を使う業務について知ることができ、自分も英語力を磨こうと考えたのがきっかけです。
留学先はマレーシア国立大学です。英語圏の大学ではありませんが、留学生に開放されている英語だけの授業を選択しました。留学準備として、外資系企業や商社、一般企業の海外事業部などへの就職をめざす学生のための「GCP(グローバルキャリアプログラム)」を受講し、オールイングリッシュの授業で英語を徹底的に学びました。英語を扱うことは苦にならないレベルにはなっていたので、あとは現地で英語に慣れるだけ、と思っていました。ところが留学してみると、マレーシアの英語には独特のクセがあり、とくに最初の1カ月間は慣れるのに苦労しましたね。しかし、次第に相手の言葉を聞き取ることにはかなり慣れてきましたが、日本語のように言いたいことが言えなかったことの大変さを実感しました。マレーシアでは、たびたび先生が学生に発言を求めます。私に対しても「この点は日本ではどうなっているのか」「日本人の視点ではどう思うか」と頻繁に意見を求められました。「マレーシア経済」という授業でも、日本との比較論でいろいろと質問されました。私が法学部の学生ということもあり、日本語でも答えられない高度なレベルの内容だったのですが(笑)。このような授業スタイルにはじめは戸惑いましたが、なんとか対応しようと、質問されそうな内容を事前に予習するようにしました。
留学中、こんな偶然もありました。現地ではキャンパス内の学生寮で生活していましたが、かつて経法大に留学していたマレーシア人の学生が同じ寮にいたのです。廊下ですれ違い、お互いに再会を喜びました。それ以降、寮内での生活の仕方やマレー語表記の通訳など、いろいろと助けてもらいました。マレーシアの人々は温かみがあり、無事半年間の留学を終了できたのも、周囲のサポートのおかげだったと感謝しています。実は当初、イギリスやカナダを希望していました。交換留学では現地の学費は免除されましたが、生活費を考え、一度は留学を断念し、落ち込んでいたところ、国際部の方が物価の安いマレーシアを薦めてくださり、マレーシアへの留学が実現しました。あの時、国際部の方から声を掛けていただかなければ、今の自分はありません。

帰国後はどんなことに取り組みましたか?

海外で刺激を受けたので、以前よりモチベーションも上がり、警察の採用試験対策にも意欲的に取り組みました。また、大学の授業にも一層積極的に参加しました。ゼミでは民法を学んでいますが、現役の弁護士である先生が提示する民法の論題に沿って、皆で解釈を行います。基礎的な部分から法律を学べたことは、警察官をめざす私にとっては有意義でした。例えばコンビニで買い物をするときも、無意識のうちに売買契約が成り立っています。警察官として市民間のトラブルに対処する場面でも、法的な観点から何が問題かを把握できれば、適切な対応につながります。ゼミではそのための基礎を培えたと思います。
留学で中断していたSコースは、直前対策から再度参加しました。実践形式の学びで、過去問を時間内に解くことを繰り返しました。様々なパターンの問題を数多くこなすことで、わからない問題も類推で理解できるようになりました。おかげで試験の本番もスムーズに解答できました。

公務員試験合格に向けた合宿にも参加されたのですね。

合宿は、大阪府警の1次選考後に、2次選考対策として行われます。2次選考は主に体力検査と面接考査なので、面接の能力を鍛えあげる合宿になりました。元警察署長の先生が担当してくださるのですが、それはもう厳しかったですよ。私も怒られましたし、「声が小さい!」と机を叩いて叱られていた学生もいました。それだけ先生方も真剣だと感じました。おかげで、この合宿に参加した学生は、私も含めて面接の力量が桁違いに向上しました。
面接のスキルに磨きをかけると同時に、質問を想定して回答を組み立てる練習も行いました。実際に2次選考の面接で、想定していた質問がありました。「加害者と被害者の両方がその場にいたとき、どっちを優先しますか」と。警察は被害者の安全が第一なので、まずは被害者の安全を確保する。その際は絶対一人で対処せず無線で応援を要請する。先生からそう教わっていたので、正しい回答ができました。知っていなければ「犯人の逮捕」と答えてしまったかもしれません。
それから、私のアピール材料は英語。留学で英語力を身につけたことを話すと、非常に関心を持ってくださいました。この点も含め、面接はすべて想定通りに進みました。

自衛隊幹部候補生の試験にも合格されていますね。

大阪府警の採用説明会に参加したとき、会場の外で自衛隊の方から声を掛けられました。「警察官の勉強をしているなら大丈夫」と受験を勧められ受験しましたが、警察よりもはるかに難しい試験でした。1次試験は教養試験と、専門(択一)教養試験、専門記述試験でした。教養試験は内容が高度で、出題範囲も5教科7科目にわたっていました。2次試験は面接と小論文で、警察で課される体力検査の代わりに身体検査がありました。あまりの難しさに落ちたと思っていたら、意外にも合格の報せが届きました。おそらく記述試験で英語を選択したことで、得点を稼げたのではないかと思います。自衛隊の合格発表が大阪府警の1週間前。大阪府警が不合格なら自衛隊に入るつもりだったのですが、大阪府警にも合格。悩みが深まりましたね。人生で一番悩みました。それでも初志貫徹で、子どもの頃からめざしていた警察官になることを決めました。

体力づくりはどうしていましたか?

剣道部での活動にくわえ、花岡キャンパスの施設を利用して筋トレを行っていました。剣道部に入ったのは1年生の終わり頃。部活動に参加したいと考え、どうせやるなら警察学校でも必要となる剣道を大学で経験しておきたいと思いました。初めて取り組んだ剣道ですが、入部したときよりも上達しました。

今後の抱負についてお聞かせください。

いずれは刑事になるのが目標です。交番勤務からスタートし、そこへ至るには長い道のりがあると思いますが、地道に経験を積んでいきたいと思います。また、留学で培った英語力という自分の特色も活かしたいです。大阪府警では一定以上の語学力を有する警察職員を「指定通訳員」に指定する制度があります。今後も勉強を続け、そのレベルの語学力を身につけて活躍したいですね。

受験生の皆さんへのメッセージ

将来の自分が現在の自分をみたとき、後悔しない最善の方法を選択してほしいと思います。そのためには周りに流されず、今自分がしたいこと、好きなことを続けることが成長の手がかりになります。自分の強みを磨くことも大切です。それが私の場合は留学でした。経法大にはSコースや豊富な留学プログラムなど、学生のチャレンジを応援するプログラムが用意されています。「これにチャレンジしたから今の自分がある!」と振り返れる大学生活を過ごしてください。

※掲載内容は取材当時のものです。

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