公務員・教員
大学での幅広い学びのすべてが、難関を突破する力に。
国や人々を財政から支えるという強い使命感を胸に、
国税の最前線へ。
国税専門官の採用試験合格、おめでとうございます。
国税専門官を志したきっかけについてお聞かせください。
ありがとうございます。
正直なところ、大学に入学するまでは国税専門官という仕事があることすら知りませんでした。初めて国税専門官のことを知ったのは、大学1年生の時に受けたゼミでのこと。国税専門官を取り扱ったビデオ教材を観る機会があり、「こんなに面白そうな仕事があるんだ」と興味を持つようになったことがきっかけです。
その後、2年生になって自分の進路について真剣に考えた時、経法大の「Sコース(特修講座)」や、「公務員特別演習」などの公務員試験をめざす上で充実した学修環境を知り、「この環境を存分に活用して国税専門官に挑戦してみよう!」と思うようになりました。
国税専門官のどのようなところに魅力を感じたのですか?
魅力はたくさんありますが、私が特に惹かれたのは「社会的意義が大きい仕事」だという点です。国税庁の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」こと。そのために、時には悪質な脱税のような犯則嫌疑者に対し、家宅捜索などの強制調査を行うこともあります。1年生の時に観たビデオにも強制捜査の場面があり、緊迫した雰囲気の中、毅然とした態度で職務を全うする国税専門官の姿に、社会正義を完遂するという強い使命感を感じました。
国税専門官の仕事は、あまり一般的に認知されていないかもしれませんが、社会基盤とも言える財政を支える重要な仕事であり、国や人々の暮らしに貢献できるため、非常にやり甲斐のある仕事だと思いました。
国税専門官をめざす上で、どのような学修に取り組まれましたか?
国税専門官の試験は、対象となる科目が、会計学や経済学、法学など幅広いため、見識を広めるためさまざまな授業を履修しました。実際、どの学修も本番の試験では役立ったので、改めて国税専門官採用試験のハードルの高さを実感しましたね。
ただ、私は経済学部に所属しているので、試験に必要な経済学の知識を授業内で学修することはできましたが、法律系科目に関しては経済学部の授業でカバーすることはできません。そこで活用したのが「経法相互乗り入れ制度」です。この制度を活用すれば、経済学部生でも法学部の授業を履修できるので、試験に必要な民法や憲法の学修をスムーズに進めることができました。
1年生では「法学基礎」を履修し、判例の解釈方法や条文の読み方などを学べたことで、法律を理解するための土台づくりができたと感じています。2年生では、「憲法学」と「民法総則概論」を履修。判例を中心に要点をしっかりと押さえた学修に徹したことで、本番の試験でも「これは授業でやった内容だな」と思えるほど、実践的な力を身につけることができました。
さらに、Sコースでは、理解が十分ではない内容を、正課授業と補完し合いながら効率的に学修を進めることができました。
特に印象に残っている学修はありますか?
ゼミでの研究活動ですね。個人的な関心から心理学のゼミに入ったのですが、社会人にとって切っても切り離せないストレスをテーマに、「人はどのような状況でストレスを感じ、どのように解消しているのか」を研究しました。この研究を通して、さまざまなストレス傾向と解消法があることを知り、今まで意識していなかったストレスについて考察を深めることができました。
また、期せずしてこの研究は、国税専門官の面接対策にもつながりました。国税専門官は税金滞納者と対峙することもあるため、精神的にタフでなければ務まりません。そのため、面接試験でもストレス耐性をみるための質問が多い傾向でしたが、ゼミで取り組んだ研究のおかげで、こうした質問にもスムーズに答えることができました。
試験本番に向けて、どのような準備をされたのですか?
2年生から本格的に公務員試験の勉強を開始しました。3年生になると、ほぼ毎日のように図書館に通い、大学が閉まる22時まで勉強し、家に帰り着くのは23時。そんな生活を試験本番までの1年間続けていました。いま振り返ってみると、大学生活の半分は公務員試験の勉強に費やしていました。
また、1次試験合格後は、面接の練習にもかなり力を入れました。2次試験の面接までは約2週間しかありません。この短い時間内でどれだけ対策ができるのか不安に思いながら、公務員志望の在学生をサポートする公務就職支援室に電話で相談したところ、「明日からさっそく練習しよう!」と職員の方が積極的にサポートを申し出てくださいました。さらに、大学までは往復2時間かかるため、1日の時間を有効に使おうと考え、公務就職支援室だけではなく、キャリアセンターにも通って、毎日面接の練習に励みました。
実は、こうした練習に取り組むまで、面接は得意な方だと勝手に思い込んでいたのですが、実際に模擬面接を受けてみると、自分の考えや話をまとめる難しさを痛感しました。当初は「自分の実力はこんなものなのか」とかなり落ち込んだのを覚えています。ただ、練習終わりに良かった点と改善すべき点をきめ細かくフィードバックしていただけたので、自宅に帰ってからもアドバイスを振り返って自主練習に励み、短期間で大きく成長できたと感じています。
公務就職支援室とキャリアセンターの手厚いサポートがあったからこそ、2次試験に合格できたと言っても過言ではありません。
本番の試験でも、その成果は発揮できましたか?
正直、1次試験に関してはあまり思い出したくないですね。プレッシャーからなのか、試験前日はまったく眠ることができず、万全とはいえない状態で試験に臨むことになってしまいました。不安な気持ちで試験を受けたため、まったく手応えはなく、試験の帰り道は今後の進路について、「民間企業も受けた方がいいんじゃないかな」と思い詰めるほど弱気になっていました。しかし、毎日10時間近く勉強し、どんな問題でもスラスラと解けるほど知識や理解が定着していたと感じていたので、心のどこかでは合格を信じている自分がいたのも事実です。1次試験の合格が発表されるまでの1ヵ月弱、ずっとモヤモヤした思いを抱きながら過ごしていましたね。
2次試験の面接に関しては、練習の甲斐もあり、落ち着いて臨むことができました。かなり手応えもあったのですが、やはり試験が終わると「あの質問にはこう答えておけばよかった」という後悔が次から次へと出てきて、再び不安な気持ちになりました。1次試験の時に比べると自信はありましたが、合格発表の日までは、同じように悶々とした日々を過ごしました。
合格を知った時の喜びは、相当なものだったでしょうね?
変な話ですが、合格発表の日、国税局のホームページで自分の受験番号を確認しても、合格したという実感がまったくなかったんです。どこかで、「本当に受かっているのか?」と疑っていました。翌日、人事院事務総長の判が押された合格通知を自宅で受け取りました。そこでようやく「本当に合格したんだな」という実感が湧いてきました。
両親に合格通知を見せたところ、「あれだけやってきたんだから、合格していると思っていたよ」と静かに笑うだけでしたが、その言葉の裏に、私のことをずっと見守ってくれていた両親の存在を感じ、うれしさと同時に感謝の気持ちが込み上げてきました。
今後の抱負についてお聞かせください。
試験勉強の最中、どんな環境で仕事をしているのかを知るために、税務署に見学へ行ったことがあります。その時に拝見した職員の方が、話をする相手に合わせて丁寧で明快な説明をされていたのがとても印象に残りました。幅広い知識と深い理解の上で、相手に合わせて対応する姿勢に対し、素直に「すごい」と思いました。と同時に、「この方のような国税専門官になりたい」という目標ができ、税務署に配属された後は、日々の業務の中でスキルを向上させながら、その目標に向かって成長できればと思っています。
そして、将来的には国税局に行きたいと考えています。1年生の時にビデオで観たのは、国税専門官の中でも、脱税などの嫌疑者に対して強制捜査・捜索・差し押さえなどを行う「国税査察官」の業務。私の最終目標はその「国税査察官」です。大規模な脱税をした企業役員や政治家などを相手に、嫌疑を立証することは容易なことではありませんが、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ため、国税の最前線へ、使命感を持って進んでいきたいと思っています。
※掲載内容は取材当時のものです。
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