公務員・教員

徹底的な反復学修と努力の継続が
難関試験の突破を実現した。

国税専門官 合格岩﨑 和真 さんKazuma Iwasaki法学部法律学科卒(2024年3月) / 大阪府立摂津高校

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国税専門官の採用試験合格、おめでとうございます。
国税専門官を志すようになったのは、いつ頃からですか?

誰かを支える仕事に就きたいという想いがあり、体力に自信があったので入学当初は消防官を志望していました。ですが、公務員には幅広い職種があることを1年生の大学演習で教わり、国税専門官という職種もその時に知りました。名前の響きも含めてとても印象に残っていたので国税専門官について調べたところ、国の財政基盤を担う重要な職種だということを知り、強く惹かれました。
私はずっとラグビーをしていました。ラグビーでは自分は目立つタイプではなく、周りのためにサポートをすることを意識していました。そのため、陰で国の財政を支える国税専門官は、私と親和性があると感じ、より強い気持ちで目指すようになりました。公務員も含めて、すべての人の安全で豊かな暮らしを成り立たせているのは税金です。その税金が正しく納められているか調査し、不正を正す国税専門官は、とてもやりがいのある仕事だと思っています。

大学ではどのような学修に取り組まれたのですか?

国税専門官の専門試験に出てくる法律系科目のベースは法学部の授業で理解し、2年生までは「Sコース(特修講座)」で公務員採用試験の過去問を解くことで、知識のアウトプットを行っていました。法学部の授業では「民法総則」や「法学の基礎」、「憲法学」などを1年次に履修し、基礎知識や専門用語を身につけることができました。おかげで以降の学修の土台ができ、理解がスムーズになったと感じています。
また、2年次には教養試験に出てくる「数的処理」や「判断推理」を履修。専門試験で出題される科目だけでなく、教養試験の科目も学部の授業で対策できるので公務員採用試験の際にとても役に立ちました。3年次になると経法相互乗り入れ制度を利用して経済学部の「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」を履修しました。経済学は専門試験の選択式と記述式の両方で出題されるため、法学部生としては非常に心強かったです。分厚い参考書を見た時は「これは理解できないかもしれない」と不安に感じましたが、図の書き方やグラフの読み方など、基礎から丁寧に指導してもらえたので、しっかり理解することができました。
3年次以降、通学に片道1時間半ほどかかっていたので、学修時間を増やしたいという考えから自分に必要な科目をオンラインで勉強する道を選びました。Sコースを受講する学生は対面で学ぶ学生が多いです。しかし、オンラインで好きな科目を受講することもできます。私の場合は、すべてのオンラインの先生の授業をチェックして、教え方が自分に合っていると感じた先生の講義を繰り返し、視聴していました。試聴後は復習することで徹底的に理解の定着をはかり、広範囲な試験科目をカバーしようと試みていました。それでも、どうしても抜け落ちる分野が出てくるため、それを当たり前のこととして捉えて毎日、複数科目の復習をするようにしていました。いま振り返ってみると過去問を解いている時間より、復習している時間の方がはるかに長かったと思います。難関で知られる国税専門官の試験に合格できたのは、途中で投げ出さずに反復学修を継続したからだと感じています。

大学生活で印象に残っていることはありますか?

民法系の大島ゼミでの学修です。このゼミでは学生が主体となって授業をするスタイルでした。授業やレジュメの内容をグループで議論して決めていき、質疑応答の内容も想定して準備するので、一度の授業でかなりの知識をインプットできます。グループメンバーが各自でつくってきたレジュメを持ち寄り、議論しながら内容をまとめていくのですが、教える側の立場になると「もっとわかりやすくできないか」と考えるようになり、自身の理解・定着にかなり役立ちました。学生の授業で不足している部分は先生が補足してくださり、判例の説明だけではなく、事件や実務の内容に至るまで具体的に解説していただけたので民法が得意になりました。
もうひとつ印象に残っていることとして、塾でのアルバイト経験があります。講師として大学1年生から4年間ずっと中学生を教えているのですが、一人ひとりに合わせた教え方を研究したことで、内容を深く理解してわかりやすく再構築して伝える力が身についたと思っています。「この子にはどう説明するのが最も伝わるか」を考え続けるので、自分で国税専門官の試験勉強をしている時も「自分ならこう教えるな」と想像する習慣がつき、解釈の手助けになりました。難しい問題を解釈してわかりやすく説明する力は、税金の説明にも応用できることなので、将来に繋がる力を養えたと感じています。

試験本番に向けて、どのような準備をされたのですか?

国税専門官の専門試験の選択式は、憲法・行政法・経済学・財政学・経営学・政治学・社会学・社会事情などから4科目を選択します。また、記述式は憲法・民法・経済学・会計学・社会学から1科目を選択します。すべての科目を完璧に勉強することは難しく、効率も悪いため、どの科目を選択すべきか公務就職支援室に相談しに行きました。最終的には得意・不得意などによって自分で選択科目を決めますが、過去の問題の傾向などを分析してもらうことで、どの科目が自分に合っているかの判断するために必要な情報を提供してもらうことができました。
また、面接を苦手としていたので、キャリアセンターで面接練習もしていただきました。国税専門官は職務上、適切な課税のために立ち入り調査や指導、督促などを行う必要があり、コミュニケーション能力を求められます。面接でもそこを見られると考えていたので、2週に1回、面接試験の直前は週に1回のペースで面接練習をしてもらっていました。何気なく受け答えしている内容が、公務員として相応しい内容かどうかも客観的に見てもらえたので、面接への苦手意識が消えて自信を持って本番に臨むことができました。

本番の試験でも、その成果は発揮できましたか?

面接には自信があったので筆記試験さえ通過すれば大丈夫だと考えていたので、筆記試験当日はガチガチに緊張していました。さらに、試験会場へは自転車で向かったのですが、付近の駐輪場に停めてから走って会場へ向かったため、くたくたの状態で試験を受けることになってしまいました。いつもと大きく違うコンディションで受けた試験は、当然いつもの実力を発揮できるわけもなく、かなり苦戦しました。それでも何とか合格できたのは、これまで積み重ねてきた反復学修の賜物だと思います。
筆記試験とは対照的に、人事院での面接試験はまったく緊張することなく本番に臨めました。質問内容がガラッと変わることがあり、頭を切り替えるのに苦労しましたが、素直な自分の想いは伝えることができ自信をもって終えることができました。
それでも、合格発表の日が近づくにつれて不安がどんどん大きくなっていき、発表直前は眠れなくなるほどでした。不安でいっぱいでしたが、ホームページで合格を確認した時は不安から一転、喜びで胸がいっぱいになりました。

今後の抱負についてお聞かせください。

簿記の知識は持っていますが、税のスペシャリストである国税専門官には、さらに深くて幅広い知識が必要です。税金に関する法律も一から学ばなければいけません。まずは研修期間中にしっかり基礎固めをして、実務の中で知識とスキルを磨いていくつもりです。将来的には東京国税局で査察官をやってみたいとも思っているので、これからも大学時代と同じように反復学修と努力の継続をしていきたいと思っています。

受験生の皆さんへのメッセージ

高校までは先生や親が環境を整えてくれますが、大学では何事も自立してやっていく必要があります。自分の決断が今後を大きく左右するので、すべての責任は自分で負わなければなりません。もちろん経法大には手厚いサポートもありますが、夢への道筋を考えるのも、そこに向かって努力するのも、すべて自分です。厳しいようですが、自分の未来は自分で切り拓いていくしかないので、精一杯がんばってください。

※掲載内容は取材当時のものです。

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