公務員・教員

「やればできる!」そう実感した公務員への挑戦。
次は、福祉環境の改善という大きな課題に取り組んでいきたい。

熊本県庁職員採用試験 合格後藤 悠里 さんYuri Goto法学部法律学科卒(2020年3月) / 熊本県 文徳高校 出身

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熊本県庁職員採用試験合格、おめでとうございます。
公務員を志すようになったのは、いつ頃からですか?

ありがとうございます。
高校3年生の頃から漠然と公務員にはなりたいと考えていました。具体的に「こういった仕事がしたい」という考えまでは持っていませんでしたが、そのように考えるようになったのは、やはり町役場の公務員である父の存在が大きかったと思います。幅広い人の役に立つ仕事をしている父の背中を見てきたので、私も自然と人の役に立つ仕事がしたいと思うようになりました。

大学では、どのような学修に取り組まれたのですか?

1年生の時は法律の「ほ」の字も知らなかったので、はじめて法律の基礎を学んだ「財産法入門」は衝撃の連続でした。たとえば、コンビニで何気なくペットボトル1本買うだけでも、法律上は売買契約が成立していたという事実を知った時はとても驚きました。同時に、自分の暮らしの中にもさまざまな法律が存在していることに改めて気づき、「法律っておもしろいな」と興味が湧いてきました。
2年生で履修した「債権法概論」や「家族と法」は、公務員採用試験の専門試験にも出てくる民法分野の授業なので、ここで基礎を理解できたのは大きかったですし、試験本番も授業の内容で十分に対応できました。さらに、「家族や法」は、実際に公証役場で働かれている外部講師の方に教えていただけます。このように実務経験のある方の授業はリアルかつ実践的な内容で、とてもおもしろかったです。また、専門試験に向けて本格的に「Sコース(特修講座)」で勉強をはじめた時も、この授業で得た知識がベースとなり、スムーズに理解が深まっていきました。その他の公務員試験の勉強も、Sコースでしっかり学ぶことができたので、不安なく試験に臨むことができましたね。
それから、3年生に履修した「社会福祉法」も、非常に印象に残っています。授業の最後に映像資料を観ることが多かったんですが、母子家庭の現実や虐待の実態など、教科書では知り得ない社会のリアルな姿を知る貴重な機会になりました。福祉課の職員を目指す私としては、この問題に福祉がどこまで踏み込むべきなのか、踏み込むことができるのかを考え、その難しさを痛感した授業でもありました。

大学生活で印象に残っていることはありますか?

2年生の時に、海外フィールドスタディでカンボジアに行ったことが印象に残っています。私にとって初めての海外体験だったので、すべてが新鮮で刺激的でした。カンボジアの大学生とお互いの国についてプレゼンし合ったり、地方へ行って現地の人と日本のカレーを作って一緒に食べたりもしました。日本のカレーは現地の人にはあまり好まれませんでしたが、生活に密着している食というものを通して、文化の差を実感することができました。その時に仲良くなったカンボジアの大学生とは今でもつながりがあります。
そして、何より海外フィールドスタディに参加して良かったことは、自分の固定観念が打ち崩され、視野が大きく広がったことです。カンボジアに行く前は「貧しくて汚い国」というイメージしか持っていなかったのですが、現地に飛び込んでみると都市は近代化され、カンボジア人はいつも豊かな笑顔をたたえ、明るく親切な人ばかり。私の勝手なイメージとは、かけ離れた世界がそこにはありました。自分の視野がいかに狭かったのかを知り、もっと世界を見てまわり、視野を広げたいと思うようになりました。

公務員試験のために、どのような準備をされたのですか?

文化振興事業団や市役所など、さまざまなインターンシップに参加しました。中でも印象深いのが、3年生の夏に参加した熊本県庁でのインターンシップ。職場の雰囲気を肌で感じたいと思い、自主的に応募しましたが、職場の雰囲気だけじゃなく他大学から参加していた学生との「差」も実感することになりました。どこに差を感じたのかというと、まずは出身大学。私以外の参加者は国立大学や有名私立の学生ばかりだったんです。さらに、みんな理路整然と話をしていて、いかにも「優秀な学生」といった印象を受けました。「これは本気で勉強しないと負ける!」そう思った瞬間、私の中で覚悟が決まりました。それからは、試験に向けた勉強に一層力を入れるようになり、Sコースでの学修はもちろん、授業外でも問題集と格闘する毎日。3年生の冬休みからは、1日10時間くらいは勉強していましたね。 あとは、面接練習にもかなり力を入れました。3年生の3月にあった就活実践キャンプで初めて模擬面接を経験したんですが、当日は緊張しすぎて心臓はバクバク。ただでさえ話すのが得意な方ではないので、自分の考えをうまく伝えることができずに撃沈しました。集団面接の練習では、周りの張り詰めた緊張感に押しつぶされそうになり、ここでも話がまとまりませんでした。でも、この経験があったからこそ、自分の中での考えを整理する重要性を学ぶことができたと思っています。だから、キャンプ以降は、大学の図書館で公務員の面接対策本を借りて、定番の質問に対する自分の考えをノートにすべて書き出し、それをまとめる作業を繰り返しました。そして、先生に何度も面接練習をしていただき、まとめた内容を論理的にアウトプットする訓練を積んだので、面接スキルはかなり向上したと思います。

本番の試験でも、その成果は発揮できましたか?

はい。一次の教養試験と専門試験は、これまでやってきた勉強の成果を存分に発揮することができました。二次は、個人面接と論文。3対1の面接が初めてだったので、それだけで緊張してしまいましたが、練習を重ねてきたおかげで何とか乗り切ることができました。ただ、質問をどんどん深掘りされていくのと、私が何を言っても面接官の方の反応が薄かったこともあり、「これは落ちたな……」と思いながら家路に着いたのを憶えています。論文に関しては、4年生の4月という試験直前から対策を始めたわりに、練習で考えていた内容をうまく組み込むことができ、ギリギリ時間内に終えることができました。
そして最大の難関は、三次の個別面接にありました。エントリーシートに「留学で視野が広がった」と書いていたので、「視野が広がって、どんな行動を起こしましたか?」と聞かれ、直接的な行動にはつなげていなかった私は黙り込んでしまったんです。今度こそ、「これは落ちたな」と思いました。
だから、合格発表の日にネットで自分の番号を見つけた時は、思わず嬉し泣きをしてしまいました。しかし、あまりに想定外だったので、すぐには信じられず、本当に自分の番号が載っているか妹にも確認してもらったほどです。

今後の抱負についてお聞かせください。

私は、中学生の時に恩師と言える先生に出会うことができました。その先生がいたから今の私があると言っても過言ではありません。子どもの頃の環境は大人にまで影響するという事実を実感しているからこそ、福祉面から環境を整えていきたいと思うようになり、熊本県庁には健康福祉部への配属希望を出しています。希望が叶えば、虐待されている子どもを保護するだけではなく、虐待を予防する仕組みづくりから考えていけたらと思っています。この問題はとても難しく複雑なので、現場で経験を積みながら具体策を探っていくつもりです。
「やってやれないことはない。やらずにできるはずがない」。これは中学の恩師からもらった言葉ですが、本当にその通りでした。採用試験合格までの道のりは辛く苦しいこともありましたが、「やればできるんだ!」と実感することができました。これからは市と国の間に立つパイプ役として、より良い福祉環境の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと思います。

受験生の皆さんへのメッセージ

私にとって、大学の4年間は、高校の3年間よりもあっという間に過ぎ去りました。1年生の時は、ただ何となく大学に行って家に帰るという毎日で、将来に向けた行動を何もしていなかったのが今では悔やまれます。だから、1年生のうちから、ぜひ多くのことにチャレンジしてほしいと思います。
公務員をめざす人は、勉強も面接も結局は自分との戦いです。なぜ、民間ではなく公務員として働きたいのか。そこをはっきりさせることが大切です。自分の中で志望理由を明確にすることは、公務員に向けて努力を続けるモチベーションにもつながりますよ。夢に向かって突き進んでください!

※掲載内容は取材当時のものです。

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