公務員・教員
コロナ禍でのボランティア活動が公務員を目指すきっかけに。
大阪市の活性化を、地元八尾にも届けたい。
大阪市役所職員採用試験合格、おめでとうございます。
公務員を志すようになったのは、いつ頃からですか?
3年次に経験したボランティア活動を通じて、市役所公務員に関心を持ちました。当時は新型コロナウイルスの影響で休業する店舗が急増し、私の周りにも一人暮らしでアルバイトをしたくてもできずに生活に困る学生も多くいました。私自身は実家住まいで特に困っていることはなかったので、知人に誘われて食品や備品を無料支援するボランティア活動に参加しました。最初はカップ麺など主食となるものを支援品として送るといいのではないかと思っていました。しかし、実際にはお菓子などの嗜好品を削り、1日3食分の費用を捻出し、精神的な余裕がなくなっているということを、ボランティアに参加して初めて知りました。そこで嗜好品の支援を増やし、より実態に即したサポートへと調整していく中で、現場の声を反映する大切さとやりがいを実感しました。
この経験を通して、困っている人たちの声を施策に反映していく仕事がしたいと考えるようになり、公務員を志すようになりました。国や都道府県庁では大規模な施策はできますが、私はその地域の方々との距離が遠くなると考えました。地域住民の声を直接聞くことができる市役所がベストだと思い、大阪市役所を志望するようになりました。
当初は地元の八尾市役所を目指されていたそうですね。
やはり大好きな地元なので、最初は八尾市のために働きたいという想いもありましたが、大阪府の中心である大阪市は、予算や規模において八尾市をはるかに凌ぐだけでなく、スタートアップ企業の支援に力を入れている点に強く惹かれました。大阪市役所へ魅力を感じる一方で、八尾市へ貢献したいという想いもあったため、採用試験の志望理由に悩んでいました。試験直前になるとその迷いがより大きくなりました。ゼミの先生に「不安なので直接相談できませんか?」と連絡したところ、日曜日だったにもかかわらず、わざわざ私の話を聞きに来てくださり、八尾市役所と大阪市役所への想いを「こんな考え方もできるんじゃない?」と整理してくれました。それは、大阪市のスタートアップ企業を成長させることは、八尾市をはじめとした周辺地域への波及効果も生むはずなので、結果的に八尾市の発展にも貢献できるのではないか、という考えです。大阪市を活性化させることが、八尾市の活性化にもつながる。そう考えると、大阪市役所の採用試験にも自信を持って臨むことができました。
大学ではどのような学修に取り組まれたのですか?
印象に残っている授業としては、2年次に履修したの「ゲーム理論」です。この分野を学ぶために経済学部に進学したといっても過言ではないので、授業を受けるのをとても楽しみにしていました。ゲーム理論とは、複数の主体が関わる意思決定の場において、それぞれの選択と行動がもたらす結果を数学的なモデルを用いて分析する学問です。各主体が取る選択=戦略なので、間違えて抽出してしまうと結果が大きく変わってしまいます。そのため、問題の本質はどこにあるのかを常に考える必要があり、普段の生活においても本質的なことを見極めようとする習慣が身につきました。
また、3年生で履修した「経済地理」では、企業や工場などの立地が地域に与える影響について、各自治体の事例をもとに学修しました。さまざまな経済活動が「どこに」「どうして」「どのように」立地しているのか統計を用いて考えるので、産業の構造や実態への理解が深まり、各自治体の取り組みや成り立ちも知ることができました。
3年生と4年生で履修した「公務員特別演習」は、自己分析や面接練習など、公務員採用試験に向けた対策が中心の授業です。4年生からは、少子高齢化やインバウンド需要、スタートアップ企業、防災など、多様なテーマでディスカッションする機会が増えました。ディスカッションの目的は正解を導き出すことではなく、議論の過程で相手の意見を理解したり、自分の意見を伝えたりすることにあると感じています。この経験は面接試験にも大いに役立ったと思っています。
大学生活で印象に残っていることはありますか?
学生研究発表大会に、1年生から3年生まで連続で出場したことです。特に、2年次と3年次は入学前から履修を考えていたゲーム理論に関する研究を発表したので、力を入れて取り組みました。2年生の時の研究内容は、「コロナ禍のオンライン授業について」です。先生側からは学生が真面目に授業を受けているのか見えないという状況だったので、どのようにすればオンライン授業でも学生が主体的に学修してくれるのかゲーム理論を応用して研究しました。内容としては金賞に相当する自信がありましたが、緊張からプレゼンがうまくいかず、残念ながら結果は銅賞でした。
次こそは金賞を獲得しようと意気込んで、3年生の時も同じメンバーで再挑戦しました。テーマは、「地方公共団体が経営する公営企業の役割について」です。前回の反省点を活かし、早期に研究内容をまとめ、プレゼンテーションのクオリティを高めることに多くの時間を割くようにしました。チームのメンバーで何度も試行錯誤を繰り返してプレゼン資料をつくり、全体のレベルアップを図りました。その結果、目標としていた金賞を獲得することができました。チームでひとつのものを作り上げる喜びを味わえた、最高の体験だったと思います。
試験本番に向けて、どのような準備をされたのですか?
3年次に受けた公務員採用試験模試の結果が良くなかったので、勉強の進め方を相談しに公務就職支援室に行きました。そこで、面接対策ができていなかったことに気づき、その場で面接練習の予約をして帰りました。それまで対策をしていなかったので、初めての面接練習では、多くの質問に答えることができませんでした。しかし、いただいたフィードバックをすべてメモし、次回の面接練習で改善できるように努力し、週に1度のペースで公務就職支援室に通うようにしました。常に意識していたのは、結論から話すことです。話が脱線し、何を話しているか分からなくなってしまう癖があったので、まずは簡潔に結論から話すように練習しました。面接練習を始めた頃と比べると、自分でも違いを感じるほど成長を感じたので、公務就職支援室の職員の皆さんには感謝しています。
今後の抱負についてお聞かせください。
どの局に配属されるかわかりませんが、どこに配属されたとしてもすべての経験を糧にして成長していくつもりです。大阪市の活性化が地元の八尾市やそのほかの地域の活性化につながるという思いのもと、スタートアップ企業の支援に携わりたいと考えています。現場の声を大阪市の経済成長につなげ、同時に私の成長にもつなげていきたいですね。
※掲載内容は取材当時のものです。