進学

尽きることのない法律への探究心が、
挫折を乗り越え、未来へと進む力を与えてくれた。

大阪大学法科大学院 神戸大学法科大学院 合格米玉利 大樹 さんHiroki Yonetamari法学部法律学科卒(2019年3月) / 兵庫県 神戸市立神港高校(現・神戸市立神港橘高校) 出身

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法科大学院入試合格、おめでとうございます。
法律家への道を歩もうと考えたきっかけについてお聞かせください。

ありがとうございます。
司法試験をめざすようになったのは2年生の終わり頃で、法科大学院への進学を視野に入れたのは3年生の9月頃になってからのことです。元々、司法書士をめざして経法大に入学したので、2年生までは「Sコース(特修講座)」で司法書士試験の勉強をしていたのですが、法律について学べば学ぶほど、その難解さにどんどん魅了され、「もっと広く、もっと深く勉強したい」と思うようになりました。その衝動に従って勉強を進めていくうちに、より深く法律を探究できそうな司法試験へとシフトしていったので、きっかけは何かと聞かれれば「法律への純粋な探究心」ということになりますね。

Sコースでの学修が探究心に火をつけたのですね。

そうですね。法律の勉強は、歩みを進めた分だけ未知の世界が広がっていくので、本当に興味が尽きないんです。Sコースで司法書士試験の勉強に取り組んだおかげで、そのおもしろさに気付くことができました。また、2年生の時に履修した「法曹特別演習」では、司法試験に関連する問題も扱っていたので、法律の入口に立ったばかりの僕にとってはかなり難しく、一層やる気が出てきましたね。

司法試験予備試験も受験されたそうですね。

はい。結果から言うと残念ながら不合格でした。司法試験を受けるには、短答式・論文式・口述試験からなる司法試験予備試験に合格するか、法科大学院を修了する必要があります。司法試験予備試験の最初の関門である短答式試験が実施されるのは5月で、僕が司法試験へ方向転換したのが2年生の冬。短答式試験まで圧倒的に時間が足りない状況でした。しかも、司法書士試験を諦めたわけではなかったので、Sコースでの学修を継続しながら、短答式の勉強は独学で進めていったんです。かなりハードな毎日でしたが何とか合格することができ、7月に実施される論文式試験へ向けて勉強をスタートさせました。さすがに司法書士試験との両立は難しかったので論文式試験の勉強に集中しましたが、2カ月たらずの勉強で合格できるほど、論文式試験は甘くはありませんでした。不合格を知った時は悔しくて悔しくて、そこから3カ月くらい何も手につきませんでしたね。
それでも時間が少しずつ気持ちを癒してくれて、3年生の終わり頃には、4年生で予備試験に再チャレンジしようと思えるようになっていました。準備不足だった前回の反省を活かして、論文式試験の勉強を中心に進め、先生にお願いしてSコースを司法書士から司法試験の講座に変えていただきました。講座を受けられた期間は1カ月程度でしたが、柔軟に対応してくださった先生方には本当に感謝しています。講座が終わってからは、また独学の日々です。過去問をひたすら解き、判例を読み込んで理解・定着させることで、応用力を養っていきました。
そして、4年生の5月に再び短答式試験へチャレンジ。「3年生の時に合格しているので、今回もパスできるだろう」と思っていたのですが、なんと結果は不合格。一気に目の前が真っ暗になりました。「法律の勉強を諦めて、いっそのこと就職しようか」。そんな考えも頭をよぎりましたが、特にやりたい仕事があるわけでもなく、9月頃まで何もする気になれず、ただ時間だけが過ぎていきました。

その挫折を乗り越えて、法科大学院に合格できた要因は何ですか?

やはり、法律への探究心ですね。司法試験予備試験に落ちたことは確かにショックでしたが、法律への興味が尽きたわけではないことに気がつきました。「だったら、法科大学院へ進学するしかない」。そう思い直し、そこからは一日中勉強に明け暮れました。Sコースで勉強したことをひたすら繰り返し、Sコースで使用していたテキストを徹底的にやり込みました。法科大学院の入試は11月。半年しか時間がない中、あれこれ手を出しても散漫になるだけとの判断から、Sコースでの学修に集中しようと決めたのです。
朝から晩まで大学で勉強し、家に帰ってからも3時間ほど勉強する。毎日、同じ生活の繰り返しです。辛くないと言ったら嘘になりますし、やはりモチベーションが下がってしまう時もありました。でも、「もう二度と落ちたくない。法律の勉強を続けたい」という強い思いが挫けそうになる心を支えてくれました。そうやって努力を積み重ねてきた結果、ようやく大阪大学法科大学院と神戸大学法科大学院の合格を手にすることができました。

経法大での学修を振り返って、良かったと思うことは何ですか?

勉強に打ち込める環境が整っていたことですね。先生方から親身で丁寧な指導を受けることができ、学内WスクールのSコースや図書館などの充実した設備。どれひとつ欠けても今の僕はないと思います。在学中に予備試験に合格することはできませんでしたが、合格をめざして勉強した日々は僕という人間を飛躍的に高めてくれました。法律を深く理解する勉強を続けてきたおかげで、物事を深く考えられるようにもなりましたし、物事に一生懸命打ち込めるようにもなりました。挫折も経験しましたが、今、大学で学んだ日々を振り返ってみると、すべてがとても有意義な時間だったと感じられます。

今後の抱負についてお聞かせください。

法科大学院を修了して、司法試験に合格することが当面の目標ではありますが、実は弁護士や検察官などの職業自体にはあまり興味がないんです。どちらかというと、そういった職業を通して、さらに法律への理解を深めていくことに興味があります。たとえば、弁護士になれば幅広い法律に強くなれますし、検察官になれば、刑事系の法律に強くなれます。大学教員として法律を研究していくのもいいなと思っています。
法律は深遠な森のようなもの。どこまで行っても、まだまだ見えていない世界があり、尽きることのない興味を引き出してくれます。将来、どんな職業に就いたとしても、歩みをとめることなく、ずっと法律を究め続けていきたいですね。

受験生の皆さんへのメッセージ

将来、自分が何をしたいのか。高校生のうちから、しっかり考えておいてください。定めた目標に最適な大学へ進学することが理想ですが、高校生のうちに目標が定まらなくても大丈夫。大学では時間がたくさんあるので、積極的に行動していろいろなことを経験してみてください。興味のある授業を受けるのもいいですし、学生研究発表大会や学園祭など大学の行事に参加してみるのもいいと思います。経験した分だけ出会いがあるはずです。焦らずやりたいことを見つけてください。

※掲載内容は取材当時のものです。

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