進学

一冊の本をきっかけに、会社を辞めて大学へ。
その時はまだ、自分が司法試験をめざすなんて想像もしなかった。

同志社大学法科大学院 立命館大学法科大学院 合格坂本 龍也 さんSakamoto Ryuya法学部卒(2016年3月) / 大阪府立 守口東高校 出身

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法科大学院入試合格、おめでとうございます。
まずは、法律を学ぼうと考えたきっかけについてお聞かせください。

ありがとうございます。
僕は高校卒業後、不動産関連の会社で営業職に携わっていました。それまであまり勉強は好きでなく、本もほとんど読んだことがなかったのですが、上司に読書を勧められ、なんとなく手に取ったビジネス書が、その後の自分を大きく変えることになったのです。
その本は、法律による日常的なトラブルの解決法について書かれたもので、著者は、行政書士を主人公としたマンガ「カバチタレ!」の原作者としても知られる田島隆先生でした。「法律の知識は大切だ、僕ももっと勉強しなければ」と、この本を読んで強く感じた僕は、田島先生に会いたいと考え、すぐに先生が住む広島まで向かったのです。残念ながら会うことはできなかったのですが、後日、先生から電話をいただくことができました。「多くの人にとって身近な“法律屋さん”になってください」という先生の言葉に胸を打たれ、僕は大学で法律を学ぶことを決意し、会社を辞め、アルバイトをしながら受験勉強をし、経法大に入学することとなりました。

当初から司法試験合格を目標とされていたのですか?

いいえ。最初は「とにかく法律について学びたい」その気持ちだけで、法科大学院への進学なども考えていませんでした。他の多くの学生たちと違い、回り道をして大学に入学した僕は、「進学や司法試験を考えるには、もう遅いのでは」という感覚を持っていたのです。でも、ある友人との出会いから、考えが変わりました。
彼は、僕と同じように社会人経験を経て経法大に入学し、同学年ながら年齢は僕よりも一回りほど上で、将来の司法試験合格に向けて努力を重ねていました。その姿から、「今からでも遅くないんだ」と気づかされたのです。
大学4年間をふりかえってみると、経法大では同じ目標を持つ仲間たちとの出会いに恵まれ、一緒に学んでこれたことをとてもありがたく感じています。みんな互いに負けたくないという気持ちで、刺激し合い、支え合いながら、頑張ってきましたから。独学では長続きしなかったと思うので、そういう意味でも、やはり会社を辞めてまで大学に入ろうと決断したのは正しかったと思っています。

大学で初めて法学を学んだ時は、どのように感じましたか?

実は、最初は「面白くなくて、難しいことばかり」という印象で、想像していたのと違う、という感覚でした。専門的な言葉などが、なかなか頭に入ってこなくて…。その壁を乗り越えるきっかけをくれたのが、一人の先生です。身近な例えなどをうまく使って、とてもわかりやすく教えていただきました。その先生に教わったおかげで法学への理解が進み、「難しい」「面白くない」とは思わなくなりました。面白いというのとは違いますが、深く学べば学ぶほど、自分の知的欲求が満たされていく実感が得られるようになったと思います。

法学のなかでも、特に関心が強い分野などがあればお聞かせください。

刑法と刑事訴訟法は、学んでみてとても興味深く感じました。民法は身近な法律とよく言われますが、僕には民法より刑法のほうが親しみやすかったように思います。「こういうことをしてはいけない」というのは、すごくわかりやすいですから。刑事訴訟法についても、この法に基づいて警察官が捜査に取り組んでいると考えれば、スムーズに理解が進みました。テレビ番組を見ながら、ドラマなどに出てくる刑事の行動と、大学で学んだこととを照らし合わせるのは、楽しく感じましたね。

法科大学院の受験対策については、どのように取り組まれましたか?

入学時からSコース(特修講座)と授業で、基礎から法学の知識が身についたため、受験にあたっても、それまでの勉強と大きくは変わらなかったように感じています。ただ、論文試験の対策については、3年生になった頃から、本格的に取り組むようになりました。
僕はそれまで文章を書くということ自体が得意ではなかったので、Sコースとは別に、まずエクステンションセンターで論文についての個別指導を受けました。エクステンションセンターでは、経法大を卒業して法科大学院に進学した先輩が常駐し、僕たちの学習をサポートしてくださいました。その先輩からマンツーマンで論文指導を受け、何度も書き直して細やかな添削をしてもらうということを繰り返すなかで、力をつけていくことができたと思います。
その甲斐もあって、同志社大学と立命館大学の法科大学院の前期日程での入試で、合格という結果が得られました。ただ、まだ後期日程の試験もありますので、他の法科大学院も受験してみて、合格できた中から、自分にとって最適な学習環境だと思える法科大学院を選びたいと考えています。

経法大に入ってからはほとんどの時間を学習に注がれたと思いますが、辛くなってやめたいと考えたことはありませんでしたか?

辛いと感じたことがないわけではありませんでしたが、やめようとは思いませんでした。一緒に頑張る友人たちがいましたし、それに、自分でやろうと決めたことでしたから。
かつての僕は、自分で何かをやると決めて行動を起こすことがありませんでした。なんとなく就職して、毎日なんとなく仕事をこなしていたように思います。その日のことしか、考えていなかったですね。それが今では、「進学して、司法試験に挑戦して」と、何年も先のことを見据えながら毎日こつこつと頑張っているのですから、大学に入ってから成長できたと感じています。
何より「自分が決めたことをやり通して夢をかなえる」って、かっこいいじゃないですか。それを今、僕がやっているんだと考えると、うれしくなります。

それでは今後の抱負についてお聞かせください。

とにかく目標としているのは司法試験合格です。法科大学院に進学するのも、司法試験に向けての勉強に打ち込むため。それでもやはり、法科大学院入試に合格できたことは、大きな自信になりました。司法試験へのステップを、一つクリアできたのですから。
そして司法試験に合格してからのことについては、まだ具体的には考えていません。ただ、合格すれば、自分の世界が変わるのではないかと思っています。ですから今はまず目の前の大きな目標をクリアすることに集中し、それをやり遂げたあと、自分の世界がどう変わったかを見極めながら、そのなかで自分がどのように進んでいくのかを、司法修習の期間にじっくりと考えるつもりです。

受験生の皆さんへのメッセージ

自分で「これだ!」と決めたなら、それを最後までやり通してほしいですね。勉強でも、遊びでも、どんなことでもいい。どんなことだって本気で頑張ってやり通せば、それはきっと「自分のため」や「誰かのため」につながると思うんです。ぜひ経法大で、あなた自身が決めたことに打ち込んでみてください。その頑張りを、この大学はきっと全力でバックアップしてくれますよ。

※掲載内容は取材当時のものです。

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