難関試験合格
司法試験の合格は自分にとってのスタートライン。
憧れの検察官への一歩はここから始まる。
念願の司法試験合格おめでとうございます。法科大学院ではどのような学習に取り組みましたか?
山梨学院大学の法科大学院に進学したのは、少人数で密度の濃い授業を展開している点やキャンパスの雰囲気が気に入ったからです。その期待通り、実務的な学びを数多く体験でき非常に有意義でした。
起訴状の作成方法を学ぶ実習や、刑務所・少年院の状況を視察する学外研修など、印象深い学びがたくさんありました。一番勉強になったのは案件事実の洗い出し方を学んだ民法の授業です。案件事実とは裁判で自分が主張しなければいけない事実のことで、例えば自分が弁護士なら何を伝えれば裁判所に認められるのかを考えていくといった内容です。私は検察官志望ですが、そうした当事者意識を知れたことは司法試験でも役立ちました。
先生方にも弁護士や検察官、裁判官として活躍された実務家が多いので、生きたアドバイスをいただけたこともありがたかったですね。
なるほど。そもそも検察官をめざしたきっかけは?
中学生の頃、親が買い与えてくれた『13歳のハローワーク』がきっかけです。多分野の職種について紹介された書籍で、将来の進路を考え始めた高校1年生の頃にその内容をじっくり読みました。
当時は刑事事件に興味があったことから、法曹三者(弁護士・裁判官・検察官)の仕事、特に検察官の役割に強くひかれました。その理由は、警察などから送致された事件に対して起訴・不起訴を判断するというところ。たとえば、「えん罪」は弁護士が阻止するというイメージが強いですが、そもそも検察が正当に捜査して起訴しなければ起こり得ないものです。事件の発生から法的プロセスを踏むなかで、一番真相に近づくことができるのは検察官ではないだろうか?そんな興味から検察官に憧れを抱き、司法試験挑戦への道のりが始まったんです。
面白い理由ですね。その夢を叶えるために大阪経済法科大学を選んだんですね?
はい。Sコース(特修講座)の法職講座がありWスクールをしなくても無料で学べること、そして法学部特別奨学生制度を活用して受験できたことが、大学選びの決め手でした。この制度を活用すれば、条件を満たすことで初年度の学費が全額免除になります。さらに入学後も、法科大学院をめざす学生のために法科大学院進学奨励奨学金という制度があり、成績が一定以上であれば年間授業料の半額相当額が免除されるんです。何でも自立してやっていきたいタイプの私にとって、こうした制度は本当に魅力的でした。
大学時代に取り組んだ学びについて聞かせてください。
4年間を通じてモチベーションを維持するために、まずは近い目標として行政書士の資格取得をめざしました。授業とSコースの法職基礎講座を受けながら、1年次で法学検定3・4級を、2年次では法学検定2級と目標の行政書士を取得できました。現在はSコースに新たに行政書士講座も設けられていますので、以前よりさらに専門的に学べるでしょうね。
3年生からは、弁護士である林客員教授のゼミを履修。ゼミ生同士が代わる代わる弁護士役となり、相談者が自分のもとにやってくるという設定で、日常生活のなかの身近な法律問題を演習しました。座学ではなく、自分たちで実際にやってみる体験型授業なので、さまざまな考え方やとらえ方があることに気づかされました。
今、思い返せば大学2、3年生の頃は、法律の知識が身についたことを実感でき、勉強が楽しくて仕方ありませんでした。一番熱意を持って学習に取り組んでいた時代でしたね。
充実した大学時代だったんですね。その経験は法科大学院や司法試験でも活かされたのでは?
それは間違いありません。大学時代に確かなベースを築けたからこそ、法科大学院での発展的な内容にもスムーズに対応できたと実感しています。何より勉強する姿勢や成長する楽しさを学べた経験が、司法試験に至るまでの自分を支えてくれたと思っています。
司法試験を終えた今も、現状に満足することなく簿記の勉強を続けています。検察官の仕事は会計資料を読む機会も多いので、日商簿記2級程度の知識を持っていた方が良いと聞いたからです。税金や保険などの知識、インターネット犯罪に関連するパソコンの知識など、まだまだ学ぶべき分野はたくさんあります。これからも日々勉強する姿勢を大切にしていくつもりです。
いよいよ夢の実現に近づいてきましたが、これからの目標を聞かせてください。
まずは埼玉での導入教育、そして、その後の検察修習に全力を尽くしたいと思います。これまで知らなかった地域に触れたかったので、修習先には岐阜県を選択しました。修習期間中は実際の取り調べや実務文書の作成にも携わるので、今まで学んだことを発揮して精一杯挑みます。
もちろん検察官に採用された後も、最初の数年は下積みと同じ。むしろ司法試験に合格した今がスタートラインのようなものです。努力を続けて検察官としてのキャリアを積み、いつか法案作成にも携われるような人材へと成長できることを夢見ています。
※掲載内容は取材当時のものです。