民間企業

思い通りの人生だったわけじゃない。
でも振り返ると、すべてが「今」に、つながっていると感じられる。

有限会社ViVifala島 ゆかこ 代表取締役島 由佳子 さんShima Yukako経済学部卒(1994年3月) / 和歌山県立 星林高校 出身

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現在、どのようなお仕事をされていますか?

介護事業を手掛ける会社を経営しています。
具体的には、訪問介護、居宅介護、認知症対応型のデイサービス、そして有料老人ホーム「湧れの杜(ながれのもり)」「粋の杜(きのもり)」を運営しています。従業員数は33名です。私自身も現場に出て、高齢者の方々とふれあい、実際に介護サービスを行っています。
介護保険が施行されたのは2000年。この業界の歴史はまだ浅く、私たちも他の同業者のみなさんも手探りでのスタートでした。それだけに「横のつながりを大切にしよう」という考えから、10年前に和歌山県訪問介護事業所協議会が発足。その当初より私は理事を務め、現在、会長として三期目を迎えています。

大学を卒業してから、ずっと介護事業に関わってこられたのですか?

いいえ。大学卒業後、最初は和歌山県立医科大学で秘書をしていました。本当は大阪に出て、大阪の会社で総合職として働きたいと思っていましたが、当時は就職氷河期ということもあり、地元の和歌山での仕事をえらびました。
そこでは教授や助教授の研究活動のサポートや、研究棟では動物実験にも携わったりと仕事は楽しかったですね。しかし、次第に、秘書から次のステップに進めないことに物足りなさを感じ、4年目に医大を退職。「何か新しいことを始めよう」と考え思いついたのが、当時和歌山にはなかった移動販売でカレーを売ることでした。独自にマーケット調査をして、カレーの試作を繰り返しながら医大の先生方にも試食して頂き、移動販売用の自動車も用意して入念に準備を整え、いよいよ開業という時。予期せぬ出来事が起こってしまい、断念せざるを得ませんでした。そして、私の再出発はふりだしに戻ったのです。

独立開業の第一歩目に見舞われた不運から、
どのような再スタートを切られたのですか?

どうしようかと考えていた時、ふと思い出したのが、医大で働いていた頃に、関連病院の先生から聞いたお話でした。「これから介護の世界が変わる」と。それで私はたまたま募集のあった老人保健施設の面接を受けてみたところ、「すぐに来てほしい」と言っていただけたんです。当時はまだ介護保険もなかった頃で、サービスとは何かもわかっていませんでした。そんな中で重度の認知症の方とも接し、戸惑うことばかりでしたが、勤務するうちに、仕事がどんどんおもしろいと思うようになったんです。これまで全く知らなかった世界に、新鮮さを感じたんでしょうね。
その後、医大で働いていた頃の知人から、ある地元の会社の社長を紹介していただきました。その社長から「介護保険に関わる新事業を立ち上げたい。任せられる人を探している」というお話をいただき、私はこの会社に転職。まだ20代でしたが、介護事業のすべてを任せてもらいました。利益を出せるまでに3年がかかり苦労も多かったですが、若い私の意志を尊重し、根気よく見守ってくれた社長にはとても感謝しています。

それからご自分の会社を設立されるまでにはどのようないきさつがあったのですか?

介護保険制度は改正が繰り返されています。それに応じて、私は常に次の事業展開を考え、新しいサービスや施設を作っていこうとしたのですが、社内にはこれに反対する役員もいました。それでも自分の思うようにやってみたいと考えた私は、社長と話し合い独立することになり、「有限会社ViVifala島ゆかこ」を設立しました。2005年のことです。
以後、デイサービスなど新たな事業に積極的に着手し、有料老人ホームも開設。今ではもう、どっぷりとこの世界に浸かっていますね。この仕事をするために生まれて来たのかな、と思うくらいに。
ホームではドクターの往診が必要になりますが、その際は医大に勤務していた頃にお世話になった先生方にお願いができたりと、これまで歩んできた道がすべて今につながっていると感じ、とても感慨深いですね。

大学での授業で、印象に残っていることはありますか?

楽しかった授業はたくさんありますよ。楽しみながら学べた4年間でした。
ゼミでは経済学や経営学を学びましたが、先生が私たちにパソコンを使うことを積極的に勧めてくれました。当時はまだ今ほどパソコンが普及していなかった時代でしたが、「将来、必ず必要になるスキルだから」と、卒論もパソコンを使って書くことを義務づけられたんです。私は最初、パソコンに苦手意識を持っていたのですが、先生のおかげで少しずつ慣れることができたと思います。
経済学部でしたが、経法相互乗り入れ制度によって法学も学べたことは良かったと感じています。介護保険制度など、法制度に関わる最新知識が常に必要となる仕事に携わる今、大学で身につけた法学の基礎は、確実に生かされています。
体育の授業の一環で、スキー合宿に行ったのもいい思い出です。幼い頃は体が弱かったので、スポーツには自信がなかったのですが、毎年合宿に参加し、引率の先生に熱心にレッスンして頂いたおかげで、かなり上達しました。
振り返ってみると、いろんな苦手意識を克服できた4年間でしたね。高校までは勉強も決して好きではなかったのですが、大学の学びをとおして、学ぶことは楽しいことだとわかりました。社会に出てからも、ケアマネージャーの資格試験の勉強などに打ち込むことができたのは、大学での4年間があったからこそです。

今後の目標についてお聞かせください。

職員みんなで楽しく働いていけるよう、企業としての安定を図っていきたいですね。また、地域社会で果たす役割も年々大きくなっています。その責任を果たす上でも、私自身がまだまだ研鑽を積む必要があると考えています。日々勉強して、職員たちとともに成長を重ねていかなくては。そうすることで、高齢者の方々にも、地域の方々にも、職員にも、喜んでもらえることが一番。誰かの役に立ち、喜んでもらえるということが、私にとってうれしいことですから。そして大好きな地元・和歌山の未来に貢献していくことができれば何よりです。

受験生の皆さんへのメッセージ

信じて前を向けば、必ず未来は明るい。それが、一番伝えたいことですね。これまでの自分を振り返っても、「やればできる」というのは本当だと、実感しています。時間はかかっても、あきらめなければ、そこにたどり着くんですよ。大切なのは、しっかりとイメージを持つこと。イメージすれば、その方向に頭も体も向きます。思い通りにならないことがあっても、その方向に自分が向いてさえいれば、別の考え方で乗り越えることができると思います。人間、生きていれば壁に突き当たることだってあるでしょう。でも、それを楽しむくらいの余裕を持ってほしいですね。そうすれば、人生はもっとエキサイティングになりますよ。

※掲載内容は取材当時のものです。

シゴトの必須アイテム

ホームの入居者の方、一人ひとりに用意している個人ファイル。提供するサービス項目のチェックをしたり、職員が日々感じたことなどを書き記したりすることで、全職員がその入居者の方についての情報を共有できるようにしています。


大学時代の「思い出の場所」

5号館の最上階の教室から、外の景色を眺めるのが好きでした。特に日が暮れたあとは、夜景がすごくキレイでしたね。ついつい遅くまで残ってしまい、守衛の方に「早く帰りなさい」と怒られたこともありましたよ(笑)。


大学時代によく読んだ本

松本清張の「砂の器」や北方謙三の「冬の狼」などを読みましたね。本は好きで、気になった本は手にとって読みましたが、長編小説を選ぶことが多かったと思います。時間をかけて読むのが楽しくて。

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