進学

社会的に弱い立場にある人を、守れる弁護士に。
それが私の夢だと、今は自信を持って話せる。

明治大学法科大学院 合格井上 彩華 さんAyaka Inoue法学部法律学科卒(2018年3月) / 愛媛県 国立愛媛大学附属高校 出身

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明治大学法科大学院の入学試験合格、おめでとうございます。
法律家への道を歩もうと考えたきっかけについて、お聞かせください。

ありがとうございます。
子どもの頃から法律には関心を持っていました。将来、弁護士をめざそうと具体的に考えるようになったのは、高校生の頃です。当時、介護疲れから高齢者の方をあやめてしまったというような事件をニュースなどで知るたびに、「そのような苦しい状況に追い込まれて罪を犯してしまった人を弁護できれば」という想いを抱くようになりました。また、私の家は母子家庭なのですが、法律を知らないために不利な状況に追いやられるケースがたびたびあり、「同じような立場にある人を、法律の知識で助けたい」とも考えていました。
こうした想いから、大学で法律を学ぼうと決意し、なかでも経法大を選んだのは、Sコース(特修講座)に魅力を感じてのことです。外部の予備校とのWスクールなどで余分な時間や学費をかけなくても、大学内で近い距離で指導してくださる先生のもと、法科大学院受験に向けた勉強ができる点に惹かれました。

実際にSコースで学んでみて、どのように感じましたか?

1年生から4年間受講してきましたが、とてもわかりやすいと思います。少人数制ということもあり、先生が私たち一人ひとりの学修の進み具合や苦手なことなどを常に把握してくれていて、それをふまえた指導をしてくださるんです。
Sコース法職講座の先生たちは経法大の卒業生で、かつては今の私たちと同じようにこの大学で学び、法科大学院に進学された方々です。そんな「先輩」としての一面も持つ先生たちが、ご自身の経験に基づいて教えてくださるのが、ありがたかったですね。司法試験に合格し、現役の弁護士として活躍している先生もおられます。そんな先生から、経法大で学んでいた頃のお話や、普段の弁護士の仕事についてのお話を聞かせてもらえる機会も少なくありません。「いつか私も先生のような弁護士になり、経法大の後輩を教える立場になりたい」と考えるようにもなり、それがモチベーションアップにもつながりました。
正直なところ、この大学で学ぶ前の私は、「弁護士になりたい」と口にするのを恥ずかしく感じていました。高校までの自分の学力を思うと、とてもかなわない夢だと言われそうだったからです。でも、この大学の先生たちは、そんなことを絶対に思わせない。「やれば、できる」と親身になって指導してくださるので、やる気を高め続けることができるんです。このような環境で学べたことが、何より大きかったと思います。

法学部の授業では、どのような学修に取り組まれましたか?

Sコースで司法試験や法科大学院受験に直結する学修を進める一方で、法学部の授業では法律そのものについての学びを深めることができました。法の成り立ちや背景など、法律の根本的な部分についての知識も、授業で学ぶことができました。また、経済学系の科目も選択できるので、経済の基本知識やパソコンについても学びました。こうした学びは、将来、弁護士として仕事をしていく上でも、必ず役立つと思っています。
ゼミでは民法を学び、今は「戸籍がない子どもたち」というテーマの卒論に取り組んでいます。1年生の時に中国の一人っ子政策について勉強し、政策に反して生まれたために戸籍が持てない子どもがいること、そして、そうした子どもが日本にもいることを知りました。その現状をさらに追究したいと考え、選んだテーマです。一見、法律とは関係なさそうに見えますが、実は法律の問題も複雑にからみあっているんです。ゼミでの学びを通じて、多くの一般的な社会問題に対して、法律の観点から考えるなど、いろいろな角度から読み解く力を身につけることができました。Sコースでも、授業でも、学びの内容はとても充実していて、ためになる勉強ができていると実感しています。

学業以外でも、大学生活で力を注いだ活動などはありますか?

焼肉屋でアルバイトをしていました。個人経営の小さなお店で、担当していたのは接客の仕事です。弁護士は、人と話したり、人の話を聞いたりする機会がとても多い仕事。そのために必要なコミュニケーション能力を、アルバイトを通じて養うことができました。
また、3年生の時には宅地建物取引士の資格を取得し、それを機に不動産会社でのアルバイトも始めました。マンションの賃貸契約にかかわる仕事を通じて、実際の法律がどのように運用されているのかを身をもって学ぼうと考えたからです。机上の勉強だけでは気づけない、生きた法律のあり方についての理解を深めることができ、とても貴重な体験となりました。
勉強とアルバイトとの両立は大変でしたが、充実感があり、忙しいくらいのほうが楽しいと思えました。しっかりとスケジュールを立てて取り組むほうが、質の高い勉強ができますから。もちろん、休む時はきちんと休んで、オンとオフの切り替えが、きちんとできていたことが良かったと思います。

法科大学院の受験には、どのように臨まれましたか?

志望校を決めたのは、3年生の冬です。法科大学院にはそれぞれ特徴があるので、事前にいろいろ調べ、先生にも相談しながら検討しました。明治大学法科大学院を志望したのは、経法大のSコースの学修環境と似ている部分が多かったからです。少人数制で、明治出身の現役弁護士の先生から指導を受けられる課外ゼミもあります。司法試験に向けて、さらに成長を重ねていく上で、自分にとってとてもいい環境だと思いました。また、入試の成績により学費全額免除の適用が受けられるという点も、魅力となりました。
いよいよ受験が始まるというスイッチが入ったのは、6月の適性試験からです。以後はアルバイトも減らし、図書館が開く朝9時から夜10時の閉館時間までこもりっきりで、食事以外はずっと過去の入試問題と向き合う、といった日々を過ごしました。
Sコースの友人たちと集まり、自主ゼミで一緒に勉強することもありました。友人たちとは1年生の時から、成績やテストの点数、論文などを互いに見せあい、刺激しあいながら学んできました。一人だとつい甘えてしまうこともありますから、切磋琢磨しあえるライバルがいつも近くにいたことは、ありがたく思います。
入試の直前には、大学が特別合宿を組んでくださり、これにもSコースの友人たちと一緒に参加しました。合宿後もいつでも先生が質問に応じてくださったので、モヤモヤを残さずに勉強を進め、自信を持って受験日を迎えることができたのは、本当に良かったと思います。「一人でやっているんじゃない、大学全体で応援してくれているんだ」という感覚が、とても心強かったです。

そして合格という、素晴らしい結果を手にすることができたのですね。

はい。しかも学費全額免除での合格という、最高の結果でした。経済的な負担を感じず、余裕を持って勉強できるので、とても助かります。
合格は、本当にうれしかったです。自分がやってきた勉強は間違いじゃなかった、と自信を高めることもできました。母は、涙を流して喜んでくれました。母に喜んでもらえたことが、何よりという気持ちです。
ただ、これがゴールではありません。司法試験合格をめざして、法科大学院でも頑張らなければなりません。その前に「大学卒業までにできることを」と考え、今は経済学部の友人に勉強法を教わりながら、簿記の学修に取り組んでいます。これも、きっと弁護士としての自分の将来に、つながると思います。

今後の抱負についてお聞かせください。

周囲に流されないよう、自分らしく4年間勉強してきたので、これからもその点を忘れずに頑張りたいと思います。司法試験合格までは、気を抜くわけにいきません。
そして司法試験に合格し、弁護士になってからは、現場の声を大切にしたいと考えています。人生において、弁護士に相談する機会は、それほど多くはありません。弁護士にとってはたくさん抱えている相談内容の一つでも、依頼者にとっては人生をかけた相談なのです。ですから、依頼者一人ひとりの気持ちを考え、一人ひとりに寄り添える弁護士をめざしたい。社会的に弱い立場の人の味方になろうと思ったのが、私が弁護士を志したきっかけですから。初心を忘れず、ずっと勉強し続けたいと思います。

受験生の皆さんへのメッセージ

大学に入った頃、「弁護士になりたい」と口にするのが恥ずかしかったというのは、当時の正直な気持ちです。「こんな学力で、弁護士になれるわけがない」とすら、思いました。でもそれは違うんだと、この大学で気づきました。たとえ人よりスタートが遅れていても、やる気さえあれば全力でサポートしてくれるのが、経法大のいいところです。夢を簡単にあきらめたりせず、ぜひ頑張ってみてください。私も明治大学法科大学院に合格したことで、「やれば、できる」ということを立証できたかもしれませんし、次は司法試験に合格することで、みなさんの励みになれればと思います!

※掲載内容は取材当時のものです。

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