進学

「人生には頑張る時期が必要」と考え、大学院受験に挑戦。
合格を手にした今、なお頑張り続けたい自分がいる。

大阪大学大学院国際公共政策研究科 合格笹井 僚之 さんRyouno Sasai法学部卒(2017年3月) / 京都府 クラーク記念国際高校京都キャンパス 出身

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大阪大学大学院国際公共政策研究科の入学試験合格、おめでとうございます。
大学院進学を志したきっかけについて、お聞かせください。

ありがとうございます。
僕は通信制高校を卒業していますが、その前は公立の全日制高校に通っていました。公立高校では「勉強を頑張ろう」という意欲を持ちながらも、他の生徒との考え方の違いなどもあって、高校生活になじめなかったのです。それで2年生の半ばでその高校をやめ、通信制高校に転入しました。
そして高校卒業後の進路について考えた時、「就職して社会に出るには準備不足」と感じて、大学進学を決意。「法律を学んでみたい」という想いから、経法大の法学部に入学しました。
しかし、大学に入るまでの自分を振り返って考えてみると、「ものすごく頑張って勉強をした」という経験がないと感じました。必死になって受験勉強に取り組んだ友達も多く、そこに引け目のような感情を抱きました。「人生には、頑張る時期というのが必要なのではないか。じゃあ大学院受験という目標に向かって、頑張ってみよう」。そうした考えが固まったのは、大学1年目の終わり頃のことでした。

大阪大学大学院国際公共政策研究科を志望されたのは、なぜですか?

大学では最初、法律を学ぼうと考えていましたが、勉強を進めていくうちに、「自分が本当に学びたかったこととは違うのではないか?」と感じるようになりました。そして2年生になって、ゼミを選択するにあたり、ふと、思い出したのです。小学生の頃、公民の授業が好きで、公民の授業のなかでも一番関心を抱いていたのは政治についての勉強だったのではないか、と。そう気づいた上で改めて法学部のカリキュラムを見直すと、政治学も学べるということがわかり、それからは政治学の勉強に最も力を注ぎました。
ゼミでは国内政治について深く学び、なかでも安全保障に最も興味を持ち、研究に取り組みました。そして2年生の後半に、ゼミを担当されていた多胡先生に「大学院に進学して、安全保障についてもっと学びたい」と相談。その時に先生が勧めてくださったのが、大阪大学大学院国際公共政策研究科だったのです。多胡先生は経法大に来られる前、大阪大学大学院国際公共政策研究科で教鞭をとられていたことから、その先生の勧めなら、自分がやりたい勉強がきっとできると感じ、志望しました。

4年生の時には、留学も経験されていますね。

はい。留学にはもともと興味を持っていましたが、どうしても行きたいといった強い想いがあったわけではありませんでした。ただ、3年生の終わり頃、自分の大学生活が同じことの繰り返しになっているように感じて、環境を変えてみたくなりました。それで4年生の9月から12月にかけて、ニュージーランドのオークランド大学に留学しました。オークランド大学を選んだのは、気候が温暖な国に行きたかったことと、図書館の規模が大きく、勉強する上で優れた環境が整っていることが、大きな理由です。
留学先では、さまざまな人と接するなかで、「日本人も外国人も、人としてそれほど大きな違いはない」と思いました。もちろん考え方や文化の違いを実感する機会もありましたが、そのうえで、人間として普遍的な何かが感じられたのです。人種や言葉が違っても、これまで自分が出会った日本人とまったく違うタイプの人ではない。それがわかったことで、外国人に物怖じしなくなり、また、海外のニュースに対する見方も変わりました。「こんなことは日本では考えられない、やはり自分たちとは違う人たちの国の出来事なんだ」と切り捨てるのでなく、身近なニュースとして捉え、考えられるようになったと思います。

大学院入試には、どのように臨まれましたか?

4年生の夏に一度目の入試に挑戦し、その時は合格できず、冬の後期日程の入試で再チャレンジして、合格を手にすることができました。
試験の内容は、研究計画書と面接。研究計画書については、図書館で合格事例をまとめた本を読み、それを参考にしつつ、ゼミの先生にも見てもらいながら書き進めました。夏の入試の1ヵ月前くらいから取り組んだので、時間をかけて書いたとは言えませんが、それでも2年生からの研究の積み重ねがあったので、決して出来は悪くなかったと思います。ただ、一回目の受験では、明らかに面接の準備が不足していました。面接試験で、大学院でどのような研究に取り組みたいかを問われても、準備ができていなかったことで焦ってしまい、しっかりと話すことができなかったのです。後期日程の試験では夏の反省をふまえ、自分の考えを整理し、起承転結を意識して言葉にするための準備を整えて面接試験に臨んだことが、合格に結びついたと思います。

「大学で頑張って勉強し、大学院入試に合格する」という当初からの目標を、達成できたのですね。

その時は頑張ったつもりでしたが、いま振り返ってみると、「よく合格できたな」と感じます。本当は一回目の受験で合格してから留学したかったのですが、もし不合格でも留学には行くと決めていたので、留学先でも研究計画書の改善に取り組みました。そして帰国後に受験した二回目の入試で、ようやく合格を手にすることができたのです。
合格発表は掲示でした。発表を見に行き、自分の番号を見つけて、うれしかったですが、何かあっけなくも感じました。
大学に入った頃は、「人生で頑張る時期が必要」と考えましたが、やってみたら「時期なんて関係ない、いつだって頑張れる」と思うようになりました。自分だけじゃなく、みんな頑張っているのですから。「頑張り続ければ、受験に合格しても不合格になっても、それで人生が大きく変わるわけではない」とすら、今は思います。大学院に入れなかったとしても、自分のやりたい勉強はできますから。もちろん合格の喜びは実感していますが、むしろ「これからスタートするんだ」という感覚が強いですね。

今後の抱負についてお聞かせください。

もっと勉強を頑張ろうと考えています。ただ、大学院に入るにあたって抱負を掲げるというのではなく、これまでと大きく変わらず、少しずつ勉強時間を増やすといった、自分なりの歩みをゆっくりと進めていきたいですね。
国立の大学院で学ぶことになりますから、何か世の中に還元しなくては、という強い想いがあります。将来の職業については、研究職か新聞記者を思い描いています。何事も全力というのは難しいですが、一つのことに一生懸命になることで、他の何かをおろそかにするのは良くありません。中途半端にならず、手を抜かない人になる、というのが、僕のめざすところです。

受験生の皆さんへのメッセージ

遊びでも勉強でも、その人なりに頑張ることができていたら、それはいいことだと思います。だらだらと中途半端なことは、しないほうがいい。目標がないなら、目標を探すことに全力を尽くしてほしいですね。そしてもう一つ、より具体的なアドバイスとして、本をたくさん読むことをおすすめします。僕は公立高校をやめた後、読書に夢中になりました。その時に読んでいたのは小説でしたが、本を読むことの面白さに初めて気づくことができたのです。そうして小説を読む経験が積み重なったことで、大学の専門書にも手が届きやすくなりました。僕が勉強に一生懸命になる、その一歩が読書だったというわけです。本を読めば、新しい情報や知識が得られます。何をするにも情報や知識は必要ですし、みなさんにもまず、できるだけ書物を手に取ることができる環境に身をおいてほしい。そこから、何かが変わると思います。

※掲載内容は取材当時のものです。

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